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独大手金融サービス会社、SolarisからLinuxに移行

» 2004年12月06日 17時09分 公開
[IDG Japan]
IDG

 独最大の金融サービス企業の1社が、中核WebインフラをLinuxに移行した。Linuxが重要なエンタープライズアプリケーションに進出していることを示す新たな例だ。

 Red Hatは12月2日、H&MやIkea Internationalなどのクライアント向けに顧客ロイヤルティカードなどのサービスを提供するPlus Finanzserviceが、Sun MicrosystemsのSolarisからRed Hat Enterprise Linux(RHEL)に移行したことを明らかにした。これによりSolarisシステムよりも30%コストが抑えられるという。LinuxはUNIXに似ており、コストが比較的低く、Intelハードで動作するため、オープンソースがUNIX市場を征服する機は熟したと多くの業界観測筋は語っている。Sunは自社OSを一部オープンソース化することで、この問題に対処しようとしている。

 PlusのLinuxシステムは、カスタムアプリケーションを使って顧客の問い合わせとリクエストを処理するオンラインサービスに使われている。同社が移行したのは、ストレージエリアネットワーク(SAN)に接続したデュアルプロセッサDellシステムの4ノードクラスタで、Oracle 9i Real Applocation Server(RAC)データベースによりクラスタリングを制御する。実稼動環境全体を外部のデータセンターでミラーリングし、データセンターは実稼動システムと10分で交代できるとRed HatのEMEA(欧州、中東、アフリカ)パートナーマーケティングマネジャー、ダーク・キッシンジャー氏は語る。

 PlusのIT管理者ゲリット−レオンハード・ステイン氏は、発表文の中で「当社のWebサービスアプリケーションは顧客とのやり取りの中心であり、そのパフォーマンスは当社のビジネス全体のパフォーマンスにとって重要だ」と述べている。同氏は、Microsoftのシステムをテストしてみたが、必要なパフォーマンスを実現できなかったと語る。Red Hatのシステムは、Solarisにパフォーマンスで勝ったという。Red HatのプロフェッショナルサービスチームがOracle RACも含む実稼動システムの導入、調整に当たった。

 Red Hatは、PlusがRed Hat Network(RHN)プロキシサーバを使って、アップデート、パッチ、正誤表を局所的にファイアウォールの背後で制御できるようにしている点を強調している。「このプロキシサーバと、サテライトサーバと呼ばれるもっと高額な製品は、当社が現在販売している技術の中でも最も重要な部類に入る」とRed Hatの欧州マーケティングディレクター、ポール・サラザル氏は語る。

 Plusは、2004年初めに完全に新しい実稼動システムを導入する決定を下したとキッシンジャー氏は語る。一からの出発になるため、どのプラットフォームを選んでも、カスタムアプリケーションの書き換え、Oracle新版への移行、そのほか根本的な変更が必要だっただろうと同氏。

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