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MSのセキュリティ計画「NGSCB」は大部分が延期

» 2005年04月26日 08時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftはセキュリティ計画「Next-Generation Secure Computing Base」(NGSCB)の提供を、大部分先延ばしにした。同社幹部が明らかにした。来年登場予定の次期Windows「Longhorn」(コードネーム)ではごく一部のみが組み込まれる。

 NGSCBはかつて「Palladium」のコードネームで呼ばれ、Microsoftが2002年に発表した。1年前には、この技術を一新してアプリケーションのコードを書き換えなくても一部恩恵を受けられるようにすると表明。2004年末までには最新状況を報告すると話していたが、その後沈黙が続いていたため、NGSCBは延期または廃止になるのではとの憶測を呼んでいた。

 NGSCBは、シアトルで開催のWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)で再浮上するはずだった。当初の日程表には、NGSCB関連のセッションが2つ掲載されており、その1つは「NGSCB対応のシステム構築方法」のタイトルが付いていた。しかし最終的な日程表を見る限り、WinHECにはNGSCBは出てこない。

 もっともMicrosoft担当者に言わせれば、WinHECにNGSCBは登場する。これはTPM(Trusted Platform Module)ハードのサポートと、セキュアスタートアップというLonghornの機能という形を取っているという。TPMは新しいものではなく、IBMやHewlett-Packard(HP)などのPCベンダーは既に自社のシステムでTPMをサポート、電子メールの暗号化やHDDのパーティションといった機能を利用できるようしている。

 セキュアスタートアップは、例えばユーザーがノートPCを紛失した場合などにPC上のデータを保護するのが狙い。

 MicrosoftのWindows担当リードプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏は4月25日、WinHECでインタビューに応えて次のように語った。「これは実際、壮大なNGSCB計画を最初に具現化するものとなる。Microsoftではほかの製品で、野心的な構想に投資しながら実際の製品では最初の考えとは違った形で実現したことが過去にもあった」

 WinHECの日程表には記載されていなくても、NGSCBがなくなってしまったわけではないとサリバン氏は主張する。「Longhornではフルバージョンの提供はしない」としながらも、TPMのサポートとセキュアスタートアップは全体の一部だと言い、「残りはいずれ実装されるかもしれない」と話している。

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