フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは4月28日、設計開発拠点の「仙台デザイン研究開発センター」を報道関係者に公開した。フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、20004年に米Motorolaの半導体部門スピンオフで誕生したFreescale Semiconductorの日本法人。
Freescaleは組み込み向けマイクロプロセッサ、車載用IC、8ビットマイクロコントローラ、32ビットマイクロコントローラのそれぞれにおいて世界シェアトップを誇る。フリースケールジャパンには、SoC(System-on-Chip)、センサー、それにアナログ・デジタル・パワー半導体の混載技術であるSMARTMOSなどの半導体設計を手がけるこの仙台デザインセンターのほか、主に自動車向け半導体のテストや不良解析を行う「名古屋品質・テストセンター」、セールスとマーケティング、それに携帯電話向けのリファレンスアプリケーション開発を担当する「東京ラボ」の各拠点がある。また、仙台デザインセンターのすぐ近くには、フリースケールジャパンの半導体を一手に製造している子会社の東北セミコンダクタもある。
フリースケールジャパンはネットワーク、家電、自動車、携帯電話の4分野に力を入れているが、仙台デザインセンターでは、センサーやSMARTMOSなどのミックスドシグナルとPowerPCを使ったSoCの設計を行っている。センサーはMEMS(Micro Electro-Mechanical System)センサー素子と呼ばれるタイプで、自動車のエアバッグシステムやノートPCのHDD衝撃保護システムに使われる加速度センサーとタイヤの空気圧監視システムに使われる圧力センサーを開発している。SMARTMOSはポータブルCDプレーヤーなどのモーター制御に、PowerPC SoCはFTTH(Fibre to the Home)ネットワークやプリンタ制御コントローラーに使われているという。SoCは半導体各社から提供されているが、同社のチップは動作周波数1GHz超のPowerPCを搭載していることによる処理能力の高さが特徴だとしている。
そのほか半導体そのものの話題ではないが、面白いと感じたのが半導体設計のコンピューティングインフラとして2001年からグリッドコンピューティング技術を導入しているという話。当初50CPUで実験的に始めたが、現在ではEthernetで接続されたセンター内のCPUサーバやワークステーション、計200CPUを仮想的に1台のコンピュータとして、設計シミュレーションに利用しているという。OSはLinuxを使用し、グリッドコンピューティングのシステムはオープンソースのものをベースに独自に開発したものだという。
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