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レノボ・ジャパン、ノンPCにも進出へ

» 2005年05月16日 20時01分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のPC事業を引き継いで誕生したレノボ・ジャパンの向井宏之社長は5月15日、IBM時代よりも幅広いラインアップのPCを開発したいと話し、非PC分野にも進出する意向を示した。また新たに、販売店向けインセンティブプログラムを始めると発表した。

向井宏之社長(左)と内藤在正副社長

 向井社長は「PCをとりまく環境は、PC本体だけにとどまらない」とし、今後はPC周辺市場の占める割合が高まると話す。成長を続けるためにも非PC系に進出したいと語ったが、「非PC」の具体的な製品は明らかにしなかった。

 「超小型のノートPCやAV機能搭載のデジタル家電型PCなど、IBM時代に開発をやめてしまったり、存在しなかったPCを開発する予定は?」との質問に対して向井社長は、「ビジネスユース向けPCを開発する姿勢は変えない」としながらも、「DVD MultiドライブはビジネスPCに必須になるなど、ビジネスの形も変わってきた。ビジネスと個人が近づいている」とし、IBM時代よりも幅広いタイプのPCを、より速いスピードで開発したいとした。

 中国Lenovoが販売してきたコンシューマー向けPCも世界で販売する計画だが、「いつ、どこでどういう形で出すかは検討中」(向井社長)。

 新たに、販売店向けインセンティブプログラムを始める。販売実績に応じて何らかのインセンティブを提供したり、電話や訪問営業のサポートを行う。PCの売り上げアップにつなげるほか、パートナー企業よりも顧客に近いリセラーから市場動向の情報を得てマーケティングに生かす戦略だ。

「グローバル企業Lenovo」をアピール

 向井社長は会見で、「Lenovoはグローバル企業」と何度も言及した。午後に開いた顧客向けセミナーでは「『新時代のPCビジネス』の幕開け 〜日本企業の一員として〜」と、国内企業であることを強調したタイトルで講演。セミナーでは日本IBMの大歳卓麻社長が講演し、懇親会には北城恪太郎会長も出席。IBMとの協力関係をアピールし、顧客の不安に配慮したものと見られる。

 新生Lenovoグループは5月、日本やアメリカなど17カ国で一斉に営業を開始した。夏ごろには40数カ国に拡大する予定だ。

 向井社長によると、中国Lenovoスタッフの強みはマネジメントや購買力。「経営効率化には大きなプラスとなる」(向井社長)。一方、Lenovoのブランド力の弱さは悩みの種で、「何年か前までは私も知らなかった」(向井社長)Lenovoブランドをどう定着させるかは重要なテーマだ。ブランド力補完策として、PCはIBMのロゴを添付して販売。PC情報は、従来通り日本IBMのWebサイトで提供する。サポートも当面はIBMが担当する方針だ。

 研究・開発担当の内藤在正副社長は「レノボはIBM時代と変わらないとアピールしてきたが、変わらないのは、プロ向けでシンプル、操作性と信頼性が高いといったコンセプトの部分。PC自体は“正しい”進化をとげていく」とアピールした。

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