ITセキュリティサービスを提供するDigital DefenseのCTO(最高技術責任者)リック・フレミング氏は、Microsoftがオプトインプロセスを設けた点は認めるべきだとしながらも、コンシューマーがオプトアウトの方法を知らなければ、これは「諸刃の剣」になるかもしれないと警鐘を鳴らしている。
「エンドユーザーの手にこうした決定を委ねる場合は常に、問題が起きる可能性がある。たとえ送信する情報を選択できる場合でも、平均的なコンシューマーは単に『イエス』を選択してすべてを送ってしまうだろう」(同氏)
「ユーザーに画面いっぱいの情報を提示した場合、どんなに書式を整えても、彼らの大半はそれを理解できないだろう。これは常に懸念されることだ」と同氏。
同氏はまた、Longhornでのエラー報告のオプトインの選択は、クラッシュが起きるたびにユーザーに選択を求めるのを避けるために、セットアップ時に行われるだろうと指摘する。
Microsoftは機密データが(ミニダンプに)含まれる場合は再度オプトインが実行されると主張しているが、もしもこのシステムにバグがあれば、2度目のオプトインなしで、基本的なデータ以外のものが送信されてしまう可能性がある。
とは言え、Microsoftの内部関係者は、最初のオプトインは「パラメータ」(問題の基本的な記述)にのみ適用されるとしている。
「パラメータには決して個人情報や機密情報は含まれない」と情報筋は語る。パラメータは通常、クラッシュに関連のある「.exe」「.dll」ファイルの名前、バージョン、タイムスタンプを含む。
オプトインの選択を最初に行っても、機密情報を含む可能性があるデータが収集される場合に、エンドユーザーは再び同意を示さなくてはならないとこの情報筋は語る。
ITコンサルティング企業Interscape Technologiesのロバート・マックロウズ社長は、ワトソン博士の刷新についてはあまり心配していないと話す。「プライバシーを心配するのはもっともなことだが、結局のところ、Microsoftは常に動作するOSの構築に焦点を当てている。このツールが、Longhornにおいてソフトのクラッシュを過去のものにする役に立つのであれば、私としては問題はない」
Microsoft MVPでLonghorn Blogネットワークを運営する同氏は、ワトソン博士の強化は最終的にはユーザーに恩恵をもたらすだろうと語る。「Windows XPとXP SP2は(以前のバージョンより)ずっと安定している。それはエラー報告ツールとワトソン博士のおかげだ。私にはプラスの効果しか見えない」
Microsoft幹部は、ワトソン博士をWindowsに加えて以来、同社はソフトのクラッシュに照準を合わせ、そのためのフィックスを提供することが可能になったと話している。このツールで報告されたクラッシュの約85%は、わずか6種のドライバが原因だった。これは、Microsoftがサードパーティの開発者と協力して、ドライバを修正させることができるという意味だ。
このようなサードパーティとのデータ共有も反発を呼んでいるが、ある内部筋は、情報共有の条件についてはMicrosoftのData Collection Policyに詳しく記されていると指摘する。「データは顧客のために修正を行うのに必要な場合にのみ共有される」という。
当初の懸念にもかかわらず、Cybertrustのクーパー氏は、Microsoftが収集する情報に関しては常に安心していたと話す。「たとえMicrosoftが常に攻撃にさらされ、狙われている標的でも、大規模な漏えいがあったという話はまだ聞かない。オプトインとオプトアウトの仕組みについて、顧客、特に平均的なホームユーザーを教育する上で、同社はそれなりにやっていると信じている」
マックロウズ氏のように、クーパー氏は、エラー報告ツールの強化はWindowsの「安定性の問題」に対処する最善の方法」だとしている。
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