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予想を超える大変化──進化するYonahの省電力技術IDF Fall 2005(1/2 ページ)

» 2005年08月25日 14時28分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 当初は「Sonomaの単なるマルチコア対応」と見られていたNapaだが、さまざまな周辺技術の工夫やYonahそのものの改良などにより、かなり大規模な進化になりそうだ。とくにYonahに関しては(コアあたりの性能では一足飛びの進化とはならないようだが)マルチコア化に伴って施される、性能面、消費電力面での工夫が多岐にわたり、当初の予想を超える「改良」が実施されている。

チップセットレベルで平均0.5ワットの電力削減

 Yonahに対応する新プラットフォームとなるNapaは、「Mobile Intel 945 Express Chipsetファミリー」(開発コード名Calistoga)と「Intel PRO/Wireless 3945ABG」無線LANチップで構成される新しいCentrinoである。

 インテルモバイルプラットフォーム事業部副社長のムーリー・エデン氏によると、Napaで開発中の製品は現在220を超え、現行のSonomaでデザインされている製品をすでに超えている。その中心となるチップセットのIntel 945GMは、Intel 915GMに比べグラフィックスが強化されただけでなく省電力化も実現。サウスブリッジ側も低消費電力化が行われている。

NapaはデュアルコアCPUのYonah、チップセットのMobile Intel 945 Express Chipsetファミリー、無線LANチップのIntel PRO/Wireless 3945ABGで構成される

 Intel 945GMに内蔵されるグラフィックスコアはIntel GMA 950で、Intel 915 GMに内蔵されていたIntel GMA 900の改良版にあたる。動作クロックが200MHzから250MHzに高速化されたほか、Zバッファの改良で3D性能を改善。またハードウェアによる逆DCT変換などのMPEG再生支援、適応型デインターレス処理による動画表示の高画質化、「CCOP」「HDCP」「CGMS-A」といった動画コンテンツ保護の仕組みに対応。さらにD1〜D5のコンポーネント映像出力も行える。

 省電力化の面では、グラフィックス処理の負荷や電源モードに応じて自動的にグラフィックコアの周波数が切り替わる「Intel Dual-Frequency Graphics Technology」、667MHzに高速化しつつ消費電力化も行われた新しいシステムバス、ディスプレイ表示のリフレッシュタイミングを自動的に増減させる「Smart 2D Display」、DDR2ベースのプラットフォームで省電力なメモリアクセスを実現するRapid Memory Power Managementなど、さまざまの工夫を細かいところまで施した結果、チップセットの消費電力は平均値で0.5ワット下がった。

 一方、新しい無線LANチップは「Enhanced AP Selection」と呼ばれる機能が目玉だ。これはアクセスポイントと細かな情報を交信し、より良好なアクセスポイントを自動選択する機能。従来は電波強度でアクセス先を決めていたが、この機能が有効になるとトラフィックの少ないアクセスポイントが自動で選択される。この機能を利用するにはアクセスポイント側の対応も必要になるが、シスコシステムおよびその子会社であるリンクシスが対応を表明。来年に向けて製品の準備が進められる。

 またワイヤレスLANにおけるVoIPの機能が改善されたり、シスコが企業向けで展開するセキュアな無線LANシステムとの互換性が高まったり、あるいは無線LAN経由での起動(Wake on Wireless LAN)に対応するといった細かな対応が行われている。

 なおNapaはMeromが登場する2006年後半もCPUのみを変更して継続して利用される予定だ。

徹底した省電力化でデュアルコア化が可能に

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