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マイクロソフト、Windows Server 2003の「最終型」を披露

» 2005年10月07日 09時30分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 マイクロソフトは10月6日、報道関係者に向けたセミナーで、2005年内に発売が予定されている「Windows Server 2003 R2」に搭載される機能の概要を明らかにした。8月30日に製品候補版(RC0)が公開され、すでに出荷に向けての最終テストが行われている段階だ。ただし、今後RC1のリリースも予定されており、発売日に関してはいまだ未定としている。

 Windows Server 2003 R2は、現行のWindows Server 2003のマイナーアップデート版であり、基本アーキテクチャの変更はない。SP1など今までにリリースされた機能パックのフィーチャーをすべて網羅し、その上に新たな機能を盛り込んだものになるという。

 新たな機能については、Windows Server製品部 高田信純氏による解説が行われた。

Windows Server製品部 高田信純氏

 R2は3つの大きな柱から成立している。もちろん、その基礎土台となっているのはServer 2003 SP1だ。

Windows Server 2003 SP1を基礎として成り立つR2

 1つ目の柱は、ファイルサーバなどのストレージ管理の効率化を目指した新機能群だ。各ストレージに容量制限を設けるディレクトリクォータでは、閾値ごとの多段階的なメール通知を管理者や利用ユーザーに対して行える。保存できるファイルを制限できるスクリーニングとの併用で、増大するディスク容量の問題を軽減することが可能になる。また、ファイルサーバの利用状況を把握できるレポート出力や、他社製SANを一元的に接続/管理できるコンソールの提供など、高い運用管理性が実現される。

高い接続性を約束するADFS

 2つ目の柱は、接続性の拡張をもたらす機能である。その1つであるADFS(Active Directory Federation Services)は、企業間(B2BあるいはB2C)での接続性を高め、安全なログインを実現できる。ネットワークログインに利用される通常のIDやパスワードの代わりに、協業する互いのパートナーのネットワークに設置されたフェデレーションサーバどうしが認証を行うため、ユーザーにはシングルサインオン環境が提供される。協業先パートナーのユーザーIDやパスワードを提供・管理する必要がないため、コストやセキュリティの面で有利だ。

 最後の柱はブランチサーバ管理の効率化である。ブランチサーバとは、本社のほかに支社などの拠点に展開するサーバ群であり、この乱立が管理の困難さを増大させている。さらに各拠点ではサーバ管理の専任者が置かれず、バックアップシステムなども備えられずに耐障害性も低いというのが実情だ。

 このように分散したシステムの運用管理を容易に実現する仕組みが、R2のDFS(Distributed File System)である。これを利用すると、各拠点のユーザーは、別の拠点のサーバにフォルダのようにアクセスすることができる。各拠点間はレプリケーションサービスによってデータの同期が行われ、ある拠点のサーバがダウンした場合に別の拠点へと自動的にリダイレクトさせることも可能だ。データの同期には新しく「Remote Differential Compression」技術が利用され、ファイルの変更があった場合はそのバイナリの部分のみのデータがやり取りされる。高田氏によれば、2MバイトのPowerPointファイルで、スライドのタイトルが変更された場合、ネットワークトラフィックは60Kバイトですむという。WAN経由でファイル全体を複製すると1分以上の時間が必要となるが、この場合は数秒で終わることになる。

R2のエディションと搭載される機能一覧

 R2の提供方法については、従来どおりOEM、DSP(Delivery Service Partner)、そしてボリュームライセンスとパッケージとなる。既存のWindows Server 2003ユーザーは、ライセンスを新規購入しなければならない(ただしSA/EAを締結しているユーザーには無償提供される)。CALについてはWindows Server 2003のCALが利用できる。

 なお、R2登場後にサービスパックがリリースされることになれば、その名称はSP2となり、Windows Server 2003(R2を含む)の全バージョンに適用できるものになるという。

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