ITmedia NEWS >

産総研、グリッド技術活用した「GridASP」の実証実験を開始

» 2005年11月10日 20時00分 公開
[ITmedia]

 産業総合研究所は11月10日、グリッド技術を用いて必要なときに必要なだけのコンピューティングパワーを提供する「GridASP」システムの実現に向け、実証実験を本格的に開始することを発表した。合わせて、この仕組みを実現するためのソフトウェア「GridASP Toolkit」β版を開発し、フリーソフトウェアとして公開している。

 GridASPは、グリッド技術を活用してデータセンターのリソースを効率的に活用してASPサービスを提供できる環境を目指したもの。事業者が個々にコンピュータや運用担当者を用意していた従来のASPに比べ、経営効率を高め、利用料金を抑えることができるという。

 このモデルでは事業者は、ポータルを運営するポータル事業者(SP:Service Provider)、アプリケーションを提供するアプリケーション提供者(AP:Application Provider)、コンピュータを提供するリソース提供者(RP:Resource Provider)の3つに分類される。これら3種類の事業者が連携することにより、必要に応じてリソースを融通し合いながら、ユーザーからのニーズに応じた自由なサービスを提供できるという。

 産総研はGridASPの実現に必要な仮想化機能を提供し、アプリケーションの実行サービスを提供するシステムを構築するソフトウェアとして、GridASP Toolkitを開発している。GridASP Toolkitには仮想化機能のほか、匿名性の実現やリクエストに対して適切なコンピュータを選択するブローカ機能などが実装されている。

 産総研ではGridASP Toolkitのβ版を公開するとともに、複数の企業とともに実証実験を開始する。第一段階では、科学分野の計算を行うソフトウェアを用いてridASP Toolkitの機能を検証する。11月より開始される第二段階では、商用データセンターおよび商用アプリケーションを用い、GridASPのビジネス化に向けた課題の抽出と利用単価、ライセンス携帯の検討などを進めるという。産総研はさらに、GridASPビジネス推進を支援する「GridASPコンソーシアム」(仮名)の設立も検討している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.