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Sun、UltraSPARC T1プロセッサをオープンソース化

» 2005年12月07日 16時19分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsは新プロセッサ「UltraSPARC T1」の一部をオープンソース化することで、同プロセッサへの関心を高めようとしている。

 12月6日にニューヨーク市で開かれた同社の四半期イベントで、スコット・マクニーリー会長は「OpenSPARC」プロジェクトを発表した。同社は設計ソース、検証スイート、シミュレーションモデルを含むUltraSPARC T1(「Niagara」のコードネームで呼ばれていた)の仕様を公開する。

 さらに同社は、UltraSPARC Architecture 2005の命令セット仕様とSolarisポートを公開するとマクニーリー氏は語った。

 この動きは、プロセッサ設計を公開するほかの取り組みに追随したものであり、Linuxをコンピューティングの世界にもたらしたオープンソース運動を手本としている。

 「ソフトでうまくいっていることが、プロセッサでうまくいかないことがあるだろうか?」とマクニーリー氏は2時間のイベント後に行われた記者、アナリストとの質疑応答の中で語った。

 OpenSPARCプログラムのさらなる詳細は後ほど明らかになるだろうが、マクニーリー氏は、T1プロセッサを中心とする革新が向上すれば、同プロセッサの採用促進に役立ち、Sunの技術者による研究開発を補足すると期待していると話した。

 Sunは既に、買収を通じて重要な技術を取り込めることを示している――実際、T1プロセッサの基盤は、Sunが2002年に買収したAfara Websystemsが開発したものだ。マクニーリー氏は、T1をベースにした技術を開発する企業が作られ、それをSunが買収するという未来を思い描いていると語った。

 Sunはオープンソースコミュニティーがプロセッサ設計を活性化させると考えてきた数少ない組織の1つだ。独立した団体により運営されているSPARC Internationalは、誰でも仕様をダウンロードしてプロセッサ設計に使えるようにしている。だが同団体はライセンス先に技術サポートを提供しているだけであり、ライセンス先は自社のプロセッサでSPARC互換を名乗れるだけだ。

 マクニーリー氏は、富士通のSPARC64技術はそうしたプログラムがうまくいくことを示す例だと語った。しかしUltraSPARC T1に関しては、仕様をもっと公開することでさらに革新を促したいと同氏は述べた。

 これはIBMがPowerアーキテクチャを基盤とした革新を生み出すために設立したPower.orgと似ている。IBMの目的は、Powerをサーバから携帯機器まで幅広いデバイスに搭載することだった。同社によると、この組織には約30の企業と教育機関、数千人の開発者が参加している。

 IBMはCellのオープンソース化も目指している。Cellは同社がソニー、東芝とともに設計したプロセッサアーキテクチャ。

 さらにはプロセッサコア設計を集めたOpenCores.orgもある。同サイトは約1700人の開発者を集めているという。

 OpenSPARCプロジェクトは、SunのSolarisオープンソース化の決定に続く動きでもある。

 Sunはここ数年までは自社のSPARC・Solarisアーキテクチャに忠実だったが、IntelやAMDのプロセッサを搭載したx86システムの人気拡大により打撃を受けていた。

 同社はその後、大胆な転換を進め、AMDのOpteronプロセッサを搭載したSun Fireシステムを立ち上げ、またSPARC64プロセッサをベースに、2006年半ばに登場する新しいサーバファミリー「Advanced Product Line」の開発で富士通と提携した。

 UltraSPARC T1はSunのスループットコンピューティング戦略の中で最もアグレッシブな動きだ。同プロセッサは最大8コアを搭載し、それぞれのコアが4つのスレッドを同時に実行できる。さらに消費電力枠は70ワットと、Intelなどのシングルコアプロセッサよりも低く抑えられている。

 Sunは既に、2007年登場予定の「Niagara II」と、2008年登場予定でコアがやや少ない「Rock」に取り組んでいる。

 Sunの担当者は、こうした新しいサーバの方向性が、同社の復活を後押しすると期待していると話す。調査会社IDCによると、第3四半期に同社の売上高が7.6%減少したのに対し、Dell、Hewlett-Packard(HP)、IBMなどのライバルは売上高が増加した。

 記者の質問に対し、マクニーリー氏は、Sunのサーバラインの1つがほかの製品のビジネスを奪うことは心配していないと話した。

 「すべてはワークロードやWebロード次第だ。それに当社が注文を受けている間、共食いはなかったと思う」(同氏)

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