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BIOSからUEFIへ――ファームウェアの大革新を目指すPC業界(2/2 ページ)

» 2006年02月01日 19時58分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK
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 「ベンダーは、Longhornサーバ、64ビットハード、UEFIという要素がそろった段階で、『よし、移行を推進しよう』と考えるだろう。これらはセットで意味を持つからだ」とリッチモンド氏。「Windows XPからLonghornへ、そして32ビットから64ビットへの移行とともに、EFI PCの大きな波が起こると思う」

 Dellのホルムバーグ氏によると、PCファームウェアを自社開発しているPC最大手の同社は、UEFIに切り替える方針だ。UEFIの標準化されたアプローチは、標準化されたハードウェアを好んで扱ってきたDellにとって魅力的だと同氏は語る。だが同氏は、同社の移行計画の詳細は明らかにしなかった。

 UEFIのメリットである安定性は、標準的なアプローチでファームウェアを扱うことによって実現されると専門家は述べている。

 UEFIでは、PCで使われる各ハードウェアはドライバ的なソフトとともに提供されることになっており、これに関連するファームウェアの変更は、ほかの部分を変更することなく行える。変更を最小限に抑えることができれば、PCを不安定にするソフトの衝突の可能性を減らすことができると専門家は説明している。

 「これは20年以上前からPC業界の厄介な問題の1つだった」とワイズ氏は語る。「互換機業界として成長したPC業界は、インタフェースを体系的に開発することができなかった。20年後の今でも、それらの多くは文書化されていない。UEFIは必要な要素が非常に明確に規定されており、この問題を解決することができる」

 Phoenix Technologiesや、American Megatrends、Insyde Technologyは、UEFIの新機能の多くをサポートする予定だ。これら3社はEFIがUEFIへと発展する前にいち早くIntelのEFIの取り組みを支持したベンダーだ。

 EFIおよびUEFIインタフェースは、これまで一般にサードパーティーのアプリケーションで提供されてきたブートマネージャ機能を提供する。この機能により、PCの起動OSの切り替えや、内蔵ドライブに加えてSANデバイスなど各種のデバイスからPCを起動することが容易になる。また、インタフェースに含まれるネットワークスタックにより、PCがOSのロード前にネットワークにアクセスすることも可能になる。代替ソースから起動したり、OSのロード前にネットワークにアクセスできることを利用すれば、管理ソフトでハードウェア問題を診断するための新しい方法を開発できると、UEFIの推進派は話している。

 例えば、Phoenix Technologiesは、システムやネットワークへのログオンを起動前に認証する機能や、新しいシステム管理/リカバリアプリケーションを提供する計画だとワイズ氏は語る。

 しかし、UEFIインタフェースは、PCを強力に管理する機能を持つ上、明確に文書化されるため、悪意あるソフトの標的になる可能性がある。

 「企業システムをダウンさせようと狙う攻撃者は、これを使って大混乱を引き起こせるかもしれない」とワイズ氏は語る。

 潜在的な脅威への対策として、UEFI 2.0仕様にはドライバ署名機能が盛り込まれている。この機能の目的は、適切なハードウェアドライバだけがコンピュータにインストールされるようにすることだとワイズ氏は語る。UEFI 2.1仕様案では、高度な暗号化、ネットワーク認証、IPv6サポートといった機能が追加される見込みだ。

 Phoenix Technologiesによると、UEFIソフトメーカーは、仕様に基づいて独自のセキュリティ機能を追加することもできる。こうしたことから、WindowsとLinuxが今後も長期にわたってBIOSインタフェース機能を提供するのは確実だが、UEFIへの移行はもはや不可避というのが大方の見方だ。

 「この流れの根底にある認識は、EFIにより、標準的でないその場しのぎの方法で作られている多くの機能が、業界標準のアーキテクチャや環境に基づいたものになるというものだ。こうしたことは常に好ましい」とホルムバーグ氏は話している。

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