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Intel MacでWindows Vistaが動く日は遠い(2/2 ページ)

» 2006年03月15日 15時42分 公開
[John G. Spooner, Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK
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 64ビットソフトはいつかの時点で主流になるはずだが、Microsoftは、32ビットOSは当面存続すると考えてVista投入のバランスを取っているようだ。

 「MicrosoftはWindows Vistaクライアントとともに最初のUEFIサポートを出荷する計画だった」とIDFのプレゼンテーションでは述べられている。

 しかし幾つかの要因から、「社内の優先事項が変わった」という。それには、United EFI Forumによる改訂版UEFI 2.0の登場、現時点でEFIを組み込んだシステムが非常に少ないことなどが含まれる。PCメーカーの関心がサーバに向いていることも一因だ。サーバでは、EFIはより多くのアドインカードを使えるようにしたり、オプションROMの問題を解決するなどの恩恵をもたらし得るからだ。

 「現時点では、最初のネイティブEFIサポートはWindows Serverのリリースに組み込まれると見込んでいる」とMicrosoftの広報担当者はeWEEKにあてた電子メールで認めている。

 「当社は今後、ネイティブEFIブートを64ビットWindows Vistaでサポートする見込みだ。ただしそれは、年内にVistaを立ち上げた後のことになる。Windowsが動作する多種多様なプラットフォームで機能する高品質なソリューションを提供できるよう、業界パートナーと協力している。当社はEFIを、業界全体が64ビットベースシステムにシフトするもう1つの理由と見なしている」とこの担当者は述べている。

 UEFIは皮肉なことに、このMicrosoftの計画をサポートしている。この技術は32ビットOSと64ビットOSの両方で機能するように設計され、またBIOSの機能をエミュレートする「Software Compatibility Module」という特別な技術を使って、BIOS対応OS――デスクトップではこの種のOSのほとんどが32ビットとなる――と後方互換性を持つよう作られている。

 このためMicrosoft、Intel、AMD、Dell、Hewlett-Packard(HP)、BIOSメーカーのAmerican Megatrends、Insyde Technologies、Phoenix Technologiesを含むUEFI Forumのメンバーは、互換モジュールを非EFI OSへの橋渡しにして、PCの64ビットUEFI実装を提供することに力を入れることで合意したと、この件に詳しい筋は話している。

 UEFIと互換モジュールをPCに組み込むのが最も理になかった方法だ。PCでWindows XP、Vista、Linuxなど最も幅広いOSを動かすことができ、その後UEFIでネイティブに動作する64ビットOSにアップグレードできるからだとIntelのコアソフトウェア部門プラットフォームソフト担当マネジャー、マイク・リッチモンド氏は説明する。同部門はソフトウェア・ソリューション部門の一部。

 同氏はMicrosoftのOS計画に関するコメントを控えた。

 しかし「しばらくは、誰もEFIだけでブートするシステムを構築しないだろう」と同氏は語る。

 「誰かがWindowsを搭載したPCを購入する場合、古いバージョンのWindowsを実行できるオプションを求める。このため、ほとんどのOEMメーカーはEFIプラットフォームにも何らかの形でBIOSとの後方互換性を組み込むという決定を下すだろう」(同氏)

 Microsoftは先週のIDFでのプレゼンテーションで、先の計画を覆し、32ビット版VistaではUEFIを一切サポートしない方針を明らかにした。同社は2005年夏のIDFのプレゼンテーションで、Vistaとサーバ版LonghornはEFIをサポートすると語っていた。

 Vistaの後のリリースでUEFIサポートを提供するというMicrosoftのコメントは、同社がサービスパックにこのサポートを組み込むつもりかもしれないということを暗に示している。

 Vistaがまだ出荷されていないことから、MicrosoftはVista Service Pack 1(SP1)の投入時期を明らかにしていない。

 同社がWindows XP SP1をリリースするまでには約1年かかった。Vistaの次のフルバージョンであるVista R2は2008年以降になるだろう。

 しかし、BIOSサポートは継続され、PCメーカーはUEFI実装とともに互換モジュールを利用できるため、MicrosoftがネイティブUEFIサポートをすぐに提供しなくても、業界に大きな影響はないだろう。

 理屈の上では、PCが互換モジュールを使って32ビットOSをブートできるなら、32ビット用と64ビット用の2つのバージョンのEFIは不要だとリッチモンド氏は言う。

 「UEFI(Forum)の皆が、『これには意味がない。ビットの観点でOSとハードを一致させよう』と言った」(同氏)

 「突き詰めていくと、OSが64ビットUEFIをサポートすることだけが理にかなっているという結論になる」

 一部のPCメーカーは既に、互換モジュールを使って、Windowsを走らせるEFIファームウェアの実装を始めている。

 こうしたマシンは初期版のEFI仕様(EFI 1.1)をベースにすることが多い。

 Intelは、UEFI Forumの結成前にEFI仕様を開発し、独自のソフトウェアフレームワークをオープンソースとして公開した。

 EFIをいち早く採用した企業の中で最も有名なのがApple Computerだ。同社はiMac、MacBook Pro、Mac miniなどの新しいIntelベースMacでこのオープンソースフレームワークを使っている。

 EFI採用の結果として、新しいMacは起動が2倍速くなったと同社は先週のプレゼンテーションで述べた。

 Vistaが最初EFIサポートを欠くことを考えると、初めはこれらの新しいMacではVistaをサポートできないだろう。

 これはAppleか誰かが互換モジュールを開発しなければ実現しないが、Appleにはそうする理由がなさそうだ。

 今四半期に登場した多数のIntel Core DuoノートPCも、EFIを採用していると業界筋は伝えている。

 EFIの普及は早くて2006年後半に始まると予測されていたが、現時点では2007年かそれ以降になりそうだ。

 「長らく投資されてこなかった(PC)プラットフォームの分野への再投資が必要になる。もしももう少し時間がかかるのなら、もう少し遅れることになる」(同氏)

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