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個人アニメ作家にFlashがくれた“力”ITは、いま(2/3 ページ)

» 2006年04月07日 15時17分 公開
[岡田有花,ITmedia]

海苔に救われる

 生活を救ったのは、近所の海苔(のり)店「海産物松村」だった。「菅井君〜」のキャラを使ったネットCMを、ECサイトに掲載してくれたのだ。CMは話題になり、Flash CMの製作依頼が次々に来た。東芝EMIの「セックスマシンガンズ」のCMや、リクルートの就職サイト「リクナビ」用の企業のガイダンスCMなど、大手企業の仕事も受けた。

画像 海苔のCMの1コマ

 とはいえCM制作は、あくまで副業だ。「作品の収入で食えるようにならないと意味がない。1つの作品に全身全霊を注ぎ込めない状況は“嘘”だと思う」。「菅井君〜」のDVDはネットやCD店で販売し、5600枚を売り上げた。

 次のチャンスもすぐ訪れた。ポイントゲートが運営する「CMサイト」が、小野さんが温めていた新アニメ「古墳GALのコフィー」を、独占で借り上げてくれたのだ。「レンタル料だけで1年食べていけました」

 コフィーは、前方後円墳型の女子高生が主人公の物語。「前方後円墳の形って女性っぽい」「“古墳のギャル=古ギャル”って言ってみたい」――そんな発想で作ったといい、月間15万ユーザーが視聴する人気コンテンツに育った。

画像 コフィー(左)とコフィーのパパ

蛙男、テレビに戻る

 Flashアニメ関連のイベントにも参加し、いくつかのプロダクションに声をかけられた。その1つのDLEと昨年末に組むことに決め、次回作「秘密結社 鷹の爪」のテレビ化に向けて動き始める。

 「一般の人は、ネット=マイナー、テレビ=メジャー、という意識。Flashでビジネスをやっていくとなると、テレビは避けて通れない」

秘密結社 鷹の爪

 DLEは、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンと共同でテレビ化を企画。両社をスポンサーとして、テレビ朝日のアニメ深夜枠に売り込んだ。

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