6月に会長に就く松下電器産業の中村邦夫社長が4月28日、社長としては最後となる決算発表に臨んだ。公約に掲げてきた売上高営業利益率5%は今期に達成する見通し。どん底の同社をV字回復に導いた中村社長は、「2010年度に営業利益率10%、世界的優良企業の仲間入りを」と新体制への期待を語った(関連記事参照)。
「それなりに意図した決算ができた。改革の成果が出てきたと思う」。2006年3月期決算をそう評価した中村社長。2000年の就任から同社の構造改革を引っ張ってきたが、「改革は1人でできるものではない。全社員、経営が一丸となって意志を結集した結果だ」と話す。
これまで、回復基調が鮮明になっても「危機は脱したが、窮地は続いている」と繰り返してきた。同社が電機大手の“勝ち組”と言われる今もその認識は変わらず、「デジタル時代の競争はオセロゲームのようなもの。今日の勝者は明日の敗者かもしれない。常に危機感がないと生き残れない」と戒める。
今期以降は積極的な成長路線にシフトチェンジする。「営業利益率5%ではまだまだ物足りない。2010年度に10%を目指したい」。ブラックボックス技術で差別化し、ユニバーサルデザインや環境対応など消費者の意識の変化を敏感にとらえて商品力を高めた「V商品」を投入する──「技術立社」「製造業の原点」が成長戦略の基盤になる。
「構造改革はおおむね終わり、今後は前向きに進めていけばいい。新体制は必ずやってくれるだろう」。中村社長は期待を込めていた。
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