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» 2006年06月16日 14時27分 UPDATE

ゲイツ氏の「引き際」はMS復活ののろし?

株価が低迷し、従業員の士気にも問題が生じるなか、ゲイツ氏は最適なタイミングで引退を発表したと言えるかもしれない。ゲイツ後の“Microsoft 2.0”は果たしてウォール街の懐疑を覆せるだろうか。

[Larry Dignan and Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏は、31年前に創業した同社を2008年に退き、自身が手掛けている慈善事業に専念する考えを明らかにした。

 同氏は6月15日、会長職には今後も留まるとし、「自分がMicrosoftの会長でなくなることは」考えられないと語った。

 「これは退職ではない。優先順位の変更だ」とするゲイツ氏は、今後は自身の時間を「Bill & Melinda Gates Foundation」に費やす計画だと説明した。

 現在50歳のゲイツ氏は、1975年に幼なじみのポール・アレン氏とともにMicrosoftを創設した。1986年に株式を公開、2000年にスティーブ・バルマー氏がCEO(最高経営責任者)に就くまで同社の会長兼CEOを務めた。ゲイツ氏は2000年に妻とビル&メリンダ・ゲイツ財団を設立。同団体の現在の資産額は291億ドルとされている。

 ゲイツ氏の日々の業務は、現CTOのレイ・オジー氏とクレイグ・マンディ氏がそれぞれ新たなポストの下で引き継ぐ。オジー氏はゲイツ氏が現在務めるチーフソフトウェアアーキテクト職の後任となり、マンディ氏は最高調査戦略責任者に就任する。

mr.ozzie レイ・オジー氏

 引き継ぎ期間中、ゲイツ氏はオジー氏に任せる業務を増やしていくとしている。オジー氏は2005年4月、MicrosoftがGroove Networksを買収した際同社幹部に就任した。Groove Networksの創業者であるオジー氏は、それ以前、Lotus Notesの発明および初期段階の開発を手掛けたIris Associatesの創設者兼社長を務めていた。新体制の下、オジー氏はゲイツ氏とともに、すべての「アーキテクチャおよび製品の監督責任」を負うことになる、とゲイツ氏は説明した。

mr.mundie クレイグ・マンディ氏

 一方マンディ氏はゲイツ氏とMicrosoftの研究ならびにインキュベーション業務の責任を負うほか、法務顧問のブラッド・スミス氏とともにMicrosoftの知的財産ならびにテクノロジーポリシーの取り組みを進める。マンディ氏は1992年、Microsoftのコンシューマープラットフォーム部門の設立・運営のために同社に入社。MicrosoftにおけるデジタルTVプロジェクトの始動も支援した。直近ではセキュリティ、プライバシー、通信規制、IP、ソフトウェア調達基準に関する先進戦略&ポリシー部門を指導した。

 バルマーCEOは、2005年9月にジム・オールチン氏、ケビン・ジョンソン氏、ロビー・バック氏、ジェフ・レイクス氏の下でMicrosoftを3部門に分ける組織再編を行っているため、Microsoftは今回の引き継ぎに向けた態勢を整えていると強調した。2005年8月、Microsoftはケビン・ターナー氏をCOO(最高執行責任者)に任命、ゲイツ氏の経営業務を引き継ぐ人事を整えた。

 「私たちは新たなテクニカルリーダー陣にちゅうちょせずに移行できる。今後は全ラインに委ねる権限を増やしていく」とバルマー氏。「ビルの足跡がMicrosoftから消えることは永久にない」とも。

 バルマー氏は、Microsoftを新リーダーたちと新技術に適合するべく準備の整った会社として描いている。だが、ウォール街はこのところ懐疑的で、Microsoftの株価は最近、過去52週間で最安値を付けた。

 ゲイツ氏の第一線からの引退発表は、MicrosoftがIPTV、Xbox対応ゲーム、新OSのWindows Vista、Office新バージョンなど数多くの新市場開拓に取り組んでいる最中に行われた。その間にも同社は、オープンソースソフトウェアとの競争やGoogleやYahoo!といったWeb2.0企業からの増大する圧力をかわさなければならない。

 さらには、Windows VistaとOffice 2007というMicrosoftにおける2つの主要製品が重要な開発の最終段階にある。両製品とも最終テスト段階に入っており、Microsoftは2007年1月にリリースしたいと語っている。もっとも、これらの製品には常にスケジュール延期がつきまとっており、Vistaに至っては当初の計画から数年も遅れている。

 こうした中、Microsoftの株価は低迷し、従業員の士気にも問題が生じている。同社の内外では、会社を再び活性化させる道としてゲイツ氏の右腕であるバルマー氏の辞任を、またゲイツ氏自身の辞任さえも求める声が出始めていた。

 新たな後任者たちがMicrosoftの製品および投資家情報の面でプラスに働くと予想されることから、アナリストらは、ゲイツ氏が退くタイミングとしては今が好機だと見ている。ワシントン州カークランドに本拠を置くDirections on Microsoftの上級アナリスト、ロブ・ヘルム氏は「株式面では、最近の安値傾向を考慮すると、(ゲイツ氏が日々の実務から退く)時期としては最良のタイミングかもしれない」としている。

 Microsoftの広報担当者たちは今回の発表を「昨年9月の組織再編以来進めている新組織体制に向けた段階的な移行の1つ」と位置付けているが、これは見過ごすことができない動きだ、とヘルム氏は強調した。

 「ゲイツ氏は、決して名ばかりの会長ではない。主要な製品計画を定期的に検討し、Vistaの『バーチャルチームメンバー』とも呼ばれていた。オジー氏が今後同じような影響力を発揮できるかどうかが要になるだろう」

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