CGMに投稿された口コミ情報を解析したり、どんな内容なのか判別する技術も重要です。投稿された情報を適切に判別し、それにマッチした情報を表示することにより、広告型ビジネスや販促型ビジネスの効果を上げることが可能になるからです。実現方法には次のものが考えられます。
(1)タグによる判別
(2)構文解析技術による判別:
理想的には構文解析ですが、現状は単語単位での解析しか実用化されていないようです。
(3)協調フィルタリングによる判別:
ある情報を見た人が、他にどんな情報へアクセスしたかを集計することで好みを把握し、同じコンテンツを見に来た人に、その人が好みそうな情報を配信する方法です。
代表的な例は、Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と他の商品をお薦めするレコメンデーションエンジンです。
API(Application Program Interface)の公開とは、CGMプラットフォームの一部の機能を、別のシステムから利用できるようにして、この仕様を広く利用してもらおうとするものです。
APIを公開することで、複数のプラットフォームがつなぎ合わさってオープンなネットワークを形成し、情報をより多く集めることができます。また、情報に手を加えることで、CGMプラットフォームの利用価値を向上させることができます。
Google MapsのAPI公開がその良い例です。ユーザーはAPIを利用して自分のブログなどに地図を表示させ、さらにユーザー固有の情報をその上に載せることで、自らが所有しているサービスかのように利用しています。
Googleは、APIを介して利用されている地図に広告を配信できる権利を持っており、ユーザーが地図を利用すればするほど広告配信ができる媒体が増える仕組みになっています。このように、APIを公開することで情報がより多く集まり、CGMプラットフォームの利用価値は向上します。
CGMの重み付けとは、口コミ情報の信頼度や価値を測定し、ユーザーに信頼できる可能性が高い情報を利用してもらうための手法です。
口コミ情報は、誰によって生成されたかによって信頼度や影響力が変わります。例えば、知人が書いたものと、まったく知らない人が生成したCGMでは、その信頼度や影響力は大きく異なるでしょう。信頼度や影響力が大きければ、それだけ利用される可能性が高く、ビジネスに結び付けられる確率も上がります。
しかしネットに存在するぼう大な口コミ情報のほとんどが、まったく知らない人が投稿したものです。これを補う手法としてユーザー同士のレーティング(格付け)があります。
例えば、Yahoo!オークションには、取引相手のユーザーが出品者を評価し、出品者の評価が記載されています。これによりユーザーは、取引の相手がどれだけ信頼できるか分かり、取引が活性化します。
新聞や雑誌など、プロが編集した情報を一方的に配信するだけの1.0型メディアでは、読者が必要なオペレーションはページをめくる程度で、インタフェースは簡素なものです。
これに対して、ユーザー参加型のWeb2.0型メディアは、情報が細分化しているため、読者は情報を取捨選択したり、自ら追記するなどの作業が必要になる傾向があります。
こういったメディアでより多くの人が簡単に参加してもらうためには、分かりやすいインタフェースが重要となります。Ajax(Asynchronous JavaScript+XML:Flash やJavaScriptを組み合わせたリッチなインタフェース)は、インタフェースを分かりやすくする技術の1つです。
どのようなメディアビジネスでも、広告効果を表す方法が確立されています。テレビなら視聴率、新聞なら発行部数が、ネットの場合は、ページビューやユニークユーザーがこれに当たります。
ただCGMを介した口コミ的なPRは、その成果を表す方法が確立されていません。ある程度確立されないと、CGMを利用した口コミPRに対して、企業が継続的に予算を投入するのは難しくなります。これを解決するには、ユーザーの行動を分析し、広告効果を測定する手法の確立が必要でしょう。
CGMはまだまだは玉石混合であり、さまざまな口コミが集合体となることにより、そのカタマリは生き物のように対処が難しいものにもなります。
しかし近い将来、先に述べたような手法や技術が進歩することにより、ユーザーには衆知(みんなの知恵)の恩恵が高まり、ビジネスでも大きな影響を及ぼす存在となるでしょう。
第3回:口コミがマスコミを超える日
第4回:「のまネコ」「やわらか戦車」に見るCGMビジネスのリスクとチャンス
第6回:なぜ起こる? 「炎上」の力学
第7回:“ネットの声”をお金にするには
ライブドア顧問兼ゼロスタートコミュニケーションズ専務取締役。
1996年、メール配信システムのシノックスの取締役として創業から参加。退職後、ユーティリティー系ソフトを販売するプロジーグループに入り、オンザエッヂ(現ライブドア)による買収と同時にオンザエッジに合流。
2002年、オンザエッヂの旧ライブドア買収に伴い、無料プロバイダー・ライブドアの責任者として運営に当たる。2003年、ポータルタルサイト ライブドア立ち上げ。同時にスタートしたブログが国内最大のサービスに成長した。このほか、約2年半で50以上のネットサービスを立ち上げる。
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