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AppleとCisco、iPhone商標問題は和解で決着?(2/2 ページ)

» 2007年02月06日 16時57分 公開
[Wayne Rash, Paula Musich,eWEEK]
eWEEK
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 Farpoint Groupの主任アナリスト、クレイグ・マティアス氏は次のように指摘している。「これは明らかにお金の問題だ。AppleはCiscoに対してあまり率直でなかったのだろう。そして、チャンスの大きさに気付いたCiscoが再び交渉したいと考えたのだろう」

 同氏によると、AppleとCiscoは1月のMacWorld ExpoでAppleがiPhoneを発表する前、既にいったんはiPhone商標の使用をめぐる合意に達していたはずという。

 ただし、一部の情報筋が指摘しているように、両社のほかには実際にその合意について確認している人は誰もいない。

 マティアス氏によると、今回は双方の陣営とも法廷での争いを避けるべく期限延長に同意している。「それが重要なポイントだ。誰も、この問題について法廷で争いたいとは思っていない」と同氏。

 マティアス氏は、Appleが当初Ciscoに対して、iPhoneが実際よりもっと限定された製品であるかのように説明していたのではないかと考えている。「コードレス電話とか携帯電話機程度の製品と説明していたのだろう」と同氏。

 「両社は、大騒動を引き起こす前にもう少し話し合ってみようということで合意したのだろう」と知的所有権を専門とする法律事務所Bromberg & Sunsteinの共同設立者であるリー・ブロムバーグ氏は語っている。

 「両社がそれぞれの要望を裁判所に送り、裁判所がその調整を図ることになるのだろう」と同氏。

 「商標の争いでは、普通に行けばCiscoが勝つはずだ。Appleもそれを悟っており、だからこそ、交渉が再開されたのだろう」とさらにブロムバーグ氏は続けている。

 「両社とも、おそらくお互いの邪魔をせずにうまくやれる方法があるだろうと考えている。この問題は効果的な方法で市場に対処してもらえばいい、ということだ」と同氏。

 Appleが1月に取り決めもないままiPhoneをリリースしたのを受けて、Ciscoが訴訟を起こして以来、Appleには「より多くの宿題」をこなし、訴訟に対する見解を明確にする時間があったはずだ、とEckert, Seamans, Cherin and Mellottの知的所有権部門の元会長で共同経営者であるアーニー・シルバーマン氏は語っている。

 Appleはおそらく今、法廷で争うことなく友好的な和解で決着する見込みがあると考えているのだろう、と同氏。

 「だが、両社が期限延長に合意したからといって、必ずしもどちらかのサイドが劣勢であるというわけではない」とシルバーマン氏は指摘している。

 「結局のところ、一見して他社の商標権を侵害するという高いリスクを冒しかねない状況にもかかわらずAppleを先へと進ませたのは何か、という点が問題となる。おそらく、AppleはiPhoneという名称はそれほど強力な商標ではないと考えているのだろう。実際、iという文字はしばしばインターネットを表す文字として使われているし、phoneという単語にしても、実際にその製品を的確に描写しているにすぎないからだ。そのため、商標を侵害したと結論付けるのはより一層難しい」と同氏。

 ブロムバーグ氏によると、ある商標を企業が共有できるかどうかを決める最大の判断基準は、消費者が混乱する可能性があるかどうかだ。同氏によると、今回の場合、2つの製品の性質を考えると、そうした混乱は起こりそうにない。

 「両社のマークがあちこちに出回ったとしても、消費者は自分の欲しいものをちゃんと手に入れられるだろう。どちらの陣営も、この問題をめぐる争いにお金を費やしたくはないはずだ」とブロムバーグ氏。

 ブロムバーグ氏によると、今後の展開として最も可能性が高いのは、両社がiPhone商標をめぐり金銭的な合意に達するという解決法だという。

 「両社はおそらく交渉の場を設け、どのようなシナリオが両社にとって最善かを検討しているのだろう。双方とも、この議論を判事の手に委ねることは避けたいと思っているはずだ。判事に任せれば、どちらか一方、というより双方が失望させられることになるかもしれない」と同氏。

 「わたしの予想では、おそらく最終的には、AppleがCiscoにある程度の使用料を支払うことでiPhoneマークを使用できるようになるのではないだろうか。Appleとしてはおそらくはっきりと決着を付けたいだろうから、完全に商標権を買い取り、Ciscoにライセンス供与するという形にしたいと考えているかもしれない」とさらにブロムバーグ氏は語っている。

 一方マティアス氏は、交渉の結果、最終的にはAppleがCiscoから何らかの形で商標権を買い取ることになると予想している。

 「こうした問題はお金で解決できるものだ。この問題が法廷で争われるようなことになれば驚きだ」と同氏。

 マティアス氏によると、AppleにとってiPhoneはたとえ高い代価を払ってでもCiscoとの和解を実現するだけの価値があるという。

 「iPhoneは携帯端末のまったく新しいカテゴリーを打ち立てる製品だ。最初の1年で難なく1000万台は売れるだろう」と同氏。

 マティアス氏によると、こうした販売予測はiPhoneがAppleの発表どおりに機能することを前提としている。ただし同氏は、既に市場には各種のiPhoneもどきも登場しており、Appleの独り勝ちということにはならないだろう、とも指摘している。

 「台湾のFirst International Computer(FIC)はLinux携帯電話をリリースしている」と同氏。

 実際、訴訟のニュースが最初に流れた時点で既に、Apple以外のベンダー少なくとも3社がiPhoneという名称の製品を販売していた。Teledex、Nex-Tech、およびEtronicslandの3社だ。

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