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YouTubeが日本戦略加速 成功のカギは「パートナー」(2/2 ページ)

» 2007年08月02日 21時43分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 YouTube配信を始めたことで、視聴者が本当に見たいコンテンツが分かってきたという。「YouTubeでのアクセス1位は当社のキャラクター・ライオンの動画だが、2位は首都高の西東京ジャンクションを紹介する報道番組の動画。こういったニュースは、作る側としてはあまり力を入れずに作ってしまうが、視聴者はああいうものが見たいのかと知った」(田沼局長)

 今後は、インディーズアーティストのビデオクリップ配信や、競馬中継の配信、ワンセグとの連携などを検討していく。「ビジネスとして成り立たせないと意味がない」

GDH「新メディアは敵ではない」

 GDHの内田康史副社長は「たくさんのユーザーに作品を見てもらえる機会」とYouTubeを位置づけ、「新メディアは敵ではない。いかにアジャストしてビジネスモデルを作っていくかが大切」と他パートナー企業よりもさらに前向きな姿勢だ。

 「当社のような企業は、地上波でショーケースとして番組を放送し、DVDで売って回収する、というビジネスモデルを取ってきたが、YouTubeなら海外を含めたたくさんのユーザーに見てもらえる。YouTubeを利用してコンテンツの世界同時発信を行う、といった可能性も考えられる」(内田副社長)

 吉本興業も、8月2日に専門チャンネルを開設した。中多広志経営・財務戦略室長は「新メディアの可能性を追求したい」と期待する。「最近、ムーディー勝山の携帯電話用コンテンツが、2カ月で2億円分売れた。新しいメディアでいままで想像しなかったことが起きている。世界一のサービスであるYouTubeとパートナーとなってビジネスモデルを探求したい」

著作権侵害動画もプロモーションに活きる?

 パートナー企業は、YouTubeのマーケティングパワーに期待しつつも、著作権侵害対策には頭を悩ませている。スカパーの田中専務は「著作権侵害の専任担当者を付け、24時間体制で監視・削除しているが、YouTubeのパートナーとなることで、懐に入って防衛できる。対策の改善をYouTubeに強く要求している」と話す。

 著作権侵害動画もただ削除するのではなく、プロモーションに生かせるなら残していく――という考え方の企業もある。「違法コンテンツについては対策チームを作り、各サイトに強い働きかけを行っているが、プロモーションとして活用したいというパートナーもいる。当社の著作権を侵害した動画は、必要ならば削除していくが、その動画を見たいという客がそこにいることに大きな意味がある」(GDHの内田副社長)

 吉本の中多室長も「著作権侵害は残念と考え、対策は行っているが、ユーザーが違法コンテンツをわざわざ探しているのかというと、そうではない。YouTube上など、コンテンツを簡便に探せる場所を提示すれば、そこに来てもらえると思う」と、ある程度前向きにとらえているようだ。

mixi、カシオ――コンテンツ提供以外での連携も

 ミクシィとカシオは、コンテンツ提供とは違った形で連携している。ミクシィは、YouTube動画をmixi日記に引用できるようにし、カシオは撮影した動画をYouTubeに簡単にアップできる「YouTube対応デジタルカメラ」を米国で発売する。

 ミクシィサービス企画部の有野寛一マネージャーによると、1日約110万件ほど更新されるmixi日記のうち、1%にYouTubeのURLが入っているという。ユーザーがより簡便にYouTube動画を日記に引用できるよう、YouTubeとの連携を決めた。

 mixi内にも動画共有サービス「mixi動画」がある。ただ「mixi動画は家族や友人とのプライベートな映像をアップするユーザーが多い」(有野マネージャー)とし、YouTubeに掲載されるような、ネットユーザー全般と共有したい動画とは住み分けられるとした。

 カシオ計算機はYouTubeと独占契約を結び、EXILIMの「YouTube対応版」を8月に米国で発売する。YouTubeに最適なサイズのH.264形式の動画を撮影し、専用ソフトで手軽にアップロードできるデジカメだ。「撮影した後の楽しみ方を提案し、YouTubeでデジカメの用途を広げたい」(中山仁QV統轄部商品企画部長)。国内での発売は未定。

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