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1年でアッカ株価が上がらなければ派遣役員はクビ──イー・アクセス千本会長が説明(2/2 ページ)

» 2008年01月23日 20時27分 公開
[ITmedia]
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決定打は「MSCB」

 イー・アクセスを強硬な提案に踏み切らせた大きなきっかけの1つは、アッカがWiMAX参入に当たって採用したファイナンス手法だ。アッカは昨年12月、既存株主のイグナイト・グループを割り当て先とする総額115億円のMSCB(転換価額修正条項付き転換社債型新株予約権付社債)の発行を発表した。

 MSCBは割当先に有利な一方、既存株主の権利を損なうとして強い批判がある。アッカがWiMAX免許を取得できなかったため、結果的にMSCBの発行は中止になった。だがイー・アクセスは「ファイナンスは株主の迷惑にならない手法を、と要望してきた」(ガン取締役)という。このため、MSCBの発行に踏み切ったアッカ現経営陣に対し「今後も株主価値を毀損(きそん)する経営をするのではないか。MSCBを含め、リスキーな選択をする可能性がある」(ガン取締役)と不信感を募らせた。

「Yahoo!掲示板でも歓迎の声」

 他の主要株主には提案について連絡済みという。イエスかノーかの返事は得られていないが、千本会長によると「1社は『株主価値の向上に反対はできない』と言っていた」という。イグナイトについても「ファンドはキャピタルゲインを求めるはず。既存株主とは利害が一致している。フレンドリーにやりたい」と友好的な姿勢を強調する。

 提案後、アッカ株価は上昇。16日終値の12万6000円に対し、23日終値は前日比5000円高の16万円で、5営業日で約27%上がった計算に。急落が続く市場に比べて逆行高を演じた株価に、千本会長は「期待の表れだ」と話す。「アッカの個人株主から当社のIR担当に多数のメッセージが届いている。Yahoo!掲示板でもほとんどが応援のメッセージだ」

 イー・アクセスはこのほど、アッカ株主が議決権行使を同社に任せる委任状用紙PDFのダウンロード公開を自社サイトで始めた。既に千数百件のダウンロードがあり、委任状は週内には1000株分ほどを集められる見込みだという。

 だが千本会長は「委任状争奪戦(プロキシーファイト)ではない」と話す。「敵対する相手がいない。今の状態ではプロキシーファイトでは全くない。賛同を得られるかどうかをうかがう信任投票だ」

 提案が否決された場合、株式公開買い付け(TOB)などに打って出る可能性については「今は足下の話しだ」(千本会長)として言及しなかった。

「法的には問題なし」

 仮にアッカのADSL事業の業績が向上した結果、イー・アクセスと競合する可能性については「両社合わせてADSLシェアは10%程度であり、全体ではYahoo!BBが大きい。10%程度でケンカしてもしょうがない。全体のパイの中でどうするか考えた方がいい」とした。

 またイー・アクセスの取締役を含む幹部が同業他社であるアッカの取締役に就任するのは利益相反・競業避止義務に違反する可能性もあるが、イー・アクセスは「両社取締役会で承認を得るなどするため、法的には問題ないと考えている」としている。

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