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Intel対NVIDIA、グラフィックス対決は近い(2/2 ページ)

» 2008年04月01日 14時58分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 NVIDIAは2007年6月に、HPCに独自のGPU技術を採用して、従来のグラフィックス市場から勢力を拡大する準備ができたことを示した。その成果は「Telsa」と呼ばれ、128個のコアで並列処理を行い、500GFLOPSを超える性能を実現する。

 ほとんどの開発者は、GPUだけで動くアプリケーションは開発していないため、NVIDIAはx86 CPUのようにGPUをプログラムできるプログラミング言語「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」も開発した。つまり、NVIDIAは独自CPUを開発したり、省電力x86プロセッサを手掛けるVIAなどの企業を買収する必要はないということだ。

 NVIDIAのGPUコンピューティング担当ジェネラルマネジャー、アンディ・キーン氏は、IntelもAMDもプロセッサにGPUを統合する方向へ進んでいるということは、CPUがムーアの法則(コンピュータの処理能力は約2年おきに倍増する)の限界に達したことを示していると語る。IntelとAMDは、CPU自体にグラフィックス技術を組み込むことで性能を高めようとしていると同氏は述べた。

 NVIDIAの見解では、コアを増やしたx86プロセッサではなく、GPUがコンピューティングを前進させるカギになる。GPUによって、NVIDIAはダイサイズを拡大し続けて――Intelはプロセッサを縮小させる方向へ進んでいるが――ダイ上にもっと多くの機能を載せて、性能を高め、HPCでもほかの分野でも地位を守ることができると同氏は言う。

 「GPUをダイ上ではなく別個に載せる方が、CPUに無料GPUを統合するよりも、日常的なアプリケーションにおいてもグラフィックスアプリケーションにおいても優れた体験が得られるということに皆すぐに気づくだろう」(同氏)

 この種の製品は、標準的なPCの問題――スタンドアロンのGPUか統合型グラフィックスか――に対処できる上、NVIDIAはGPUだけでHPC市場のニーズを満たせるとも確信している。

 NVIDIAがTelsaで取り組んでいることは2つある。

 まず、同社はTelsaを使って従来より高速な処理エンジンをサーバに載せることで、データセンターのパフォーマンスを高めようとしている。2つ目の目標は、HPCをワークステーションに、複雑な科学アプリケーションをデータセンターからデスクトップに持ってくることだ。

 「どうやったら、科学者や技術者が使っているアプリケーションの多くをデスクトップで実行できるだろうか?」とキーン氏は問いかける。「これはHPCのエキサイティングな課題だ。リソースの共有を余儀なくされてきた科学者らは、アプリケーションの減速に見舞われてきた。1人にもっと多くの処理能力を与える方が、舞台裏に処理能力を集めるよりもずっといい。GPUはそれができる。PCに既に搭載されているからだ」

 マクレガー氏は、HPC分野は依然として開かれており、NVIDIA、AMD、Intelがこの分野の問題を解決するための製品を多数投入するだけの余地が十分あると指摘する。NVIDIAはGPUにフォーカスしているが、マクレガー氏はIntelの80コアのテラスケールCPUや省電力CPU「Silverthorne」などは、HPC分野への進出を後押しするだろうと言う。

 もう1つIntelが有利な点は、積極的にデベロッパーコミュニティーに投資し、協力していることだ。

 同社はMicrosoftとともに、マルチコア、マルチスレッドCPUに取り組む新世代の開発者に2000万ドルの研究資金を寄付したとスプーナー氏は言う。

 「NVIDIAにはCUDAがあり、Intelには独自の開発ツールがある。両社はいずれも開発者の支持を獲得するため、開発作業を極力容易にしようとしている」(同氏)

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