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「ネット規制法、保護者も子どもも迷惑」とPTA連会長 MS、ヤフーなどと会見(2/2 ページ)

» 2008年04月23日 20時25分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 保護者が子どもにネットリテラシー教育をするための分かりやすい教材を提供していくほか、ネット業界から講師を派遣して保護者向け勉強会を開催。ネット事情に関する情報提供も行う。

 「時間はかかるかもしれないが、有害なものを目をふさいで見せないようにするよりも、教育で取り組んでいく方がずっと効果がある」(別所法務部長)

 高橋会長によると、PTAの会長会で資料を配れば全国の保護者に届けられるといい、5社の取り組みへの期待を込める。ただ、特に「情報」の教科がない小中学校の教師のリテラシーが低いという。「政府はリテラシー教育が必要だと3〜4年前から言っていたはずなのに、なぜそれに力を入れなかったのか」と高橋会長は悔しがる。

「ネット=危険」の誤解

 新聞では毎日のように「学校裏サイト」をきっかけにしたいじめなどが報道され、「ネットを通じた事件や事故で、たくさんの子どもたちが被害を受けている」という意見も根強い。だがこの見方は偏っていると、別所法務部長は指摘する。

 「少年が犯罪被害にあう数は、ネットの普及前後を問わず一定。増えていない。ネットという通信手段の悪用に対して事業者が取り組めることはあると思うが、それで犯罪被害数が減るのかどうかも確認できていない。犯罪被害者を減らすには、ネットの取り組みだけではなく、大元の犯罪を減らす取り組みがないと意味がない」(別所法務部長)

 「ネットで子どもたちが大きな被害を受けているという言説は、例えて言えば、歌舞伎町の写真を見せられて『これが東京』と言われるようなもの。われわれネット事業者が、東京全体、日本全体を伝え切れていない部分もある。10年後には今の子どもたちが大人になり、そんな時代は過ぎるだろうが、それまでは事業者がきちんと活動をしていく必要がある」(別所法務部長)

 高橋会長も「ネット事業者に責任を負わせるのは筋違い」と話す。「確かに子どもたちは最近、携帯電話を媒介にした事故に巻き込まれることも多い。だが事故が心配なら、親は携帯を持たせなければいいい。携帯を持たせた親が、一番反省しなくてはいけない」(高橋会長)

 「有害情報」を意図的に発信している“悪徳事業者”への対策を問われると、別所法務部長は「悪徳事業者のコンテンツの大半は、違法なものと認識している。有害情報の対策ではなく違法情報の対策を進めるべき」と話した。

このまま法成立の可能性も

 「保護者や子どもが望まない方法、かつ、効果が期待できない方法を国が一方的に推し進めることは、誰にとってもメリットはない」と別所法務部長は言う。だが「現在把握している自民党の議論では、もしかするとこの法案が国会審議される可能性がゼロではない」といい、「こういうものが最終形にならないように努力していきたい」と話した。

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