今日、オフィスのデスクに従業員を縛りつけているような企業は時代遅れだ。しかし企業がモバイル化を推進するのに伴い、そのビジネス手法も進化した。延々と続く表計算ドキュメントと格闘する時代は過ぎ去った。クラウドコンピューティングの時代が到来したのだ。
今日の企業は、簡素なNetbookやウルトラポータブルが提供できる機能よりも高度な機能を必要としている。Netbookは市場のけん引力になっているが、必ずしも企業市場に訴求しているわけではない。企業ユーザーは、3Gネットワーキング機能を備えた軽量コンピュータよりも本格的な製品を必要としているのだ。
企業ユーザーは、複数のソフトウェアを同時に実行する機能を必要としている。Microsoft Wordを使って仕事をしながら、クラウドにアクセスしてCRMアプリケーションにデータを入力できるような環境も求めている。グラフィックスを処理する機能も必要だ。そして最も重要な点は、企業ユーザーがセキュリティを必要としているということだ。送受信するデータが安全でセキュアであると確信できる必要があるのだ。
NetbookやウルトラポータブルPCは、これらのすべての機能を提供するわけではない。確かに可搬性という点では優れている。どこからでもWebに接続する機能を備えた製品も多い。マルチタスキングが可能な製品もある。しかしNetbookやウルトラポータブルPCは、多くの企業で必要とされる強力なグラフィック機能を備えていない。そして最大の難点は、企業が今日でも業務で利用しているローカルアプリケーションを処理するのに必要なパワーを備えていないことだ。要するに、企業ではまだ使いものにならないということだ。
わたしはつい最近、大手会計事務所の上級幹部と仕事の話で会った。その幹部によると、従業員用に2台のNetbookを購入したところ、非常に便利なので驚いたという。「唯一の問題は、会社で使っている税金関連アプリケーションのニーズに十分対応できないことだ」と彼は語った。いずれにせよ、もっと強力になるのを期待してNetbookの今後を見守るつもりだという。
こういった気持ちを抱いているのは、彼だけではないはずだ。高価でかさばるノートPCの代わりに、Netbookと呼ばれる低価格の選択肢を導入するのが得策なのだろうかと迷っている経営幹部は多いに違いない。現時点では、大多数の企業にとって、その答えは「ノー」だ。
しかしウルトラポータブル型ノートPCとNetbookとの間の境界線がぼやけ、ベンダー各社がNetbookの高機能化の限界に挑む中、この状況が変化し、企業でのNetbookの利用価値が高まるかもしれない。そうなれば企業市場でもやがて、ウルトラポータブルだけではなくノートPCもNetbookに取って代わられる可能性がある。
しかしそれまでは、企業はノートPCを使い続けるべきだ。Netbookに目を向けるのは、自社の要求を満たせるようになってからでいい。Netbookはまだその域に達していないのだ。
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