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天気予報は誰のもの? 気象庁VS.ウェザーニューズ バトルの行く末 (1/2)
ウェザーニューズが気象庁と異なる台風上陸情報を出したことに始まった両者の“バトル”は依然その余波が続いている。気象情報はいったいどうあるべきなのか。
2009年11月02日 12時12分 更新
台風18号により崩落した、日長川に架かる東橋=平成21年10月9日午前10時58分、愛知県知多市で共同通信社ヘリから
気象情報会社「ウェザーニューズ」(WN、本社・東京)が、気象庁と異なる台風18号上陸の独自情報を出したことに始まった両者の“バトル”は依然その余波が続いている。「官」と「民」の対立構図はさまざまな業界で見られるが、一筋縄ではいかない気象業界事情も、こうした問題発生の一因のようだ。ただ、防災に直結する気象問題の対立は、国民生活に直接、影響しかねない問題。気象情報はいったいどうあるべきなのか。改めて、気象業界の現状を確認するとともに、気象庁、WN社双方の主張を検証してみたい。(豊吉広英)
「今後は法令に基づいて…」態度明確化した気象庁
10月29日午後。東京・大手町にある気象庁2階の講堂では、民間気象情報会社など予報業務許可事業者に対する講習会が行われていた。
テーマは「台風」。出席したのは28社45人。フジテレビ「スーパーニュース」天気キャスターの三井良浩さんや、日本テレビの防災キャスター、岩谷忠幸さんといった、著名な気象予報士の姿も見える。
この日、気象庁の予報官や技術専門官らから、台風解析や予報の技術に関する説明が次々に行われた後、最後にマイクの前に立ったのは、民間事業者を取り仕切る民間事業振興課の吉永泰祐課長だった。
吉永課長の演題は「台風に関する解説の留意点」。そして、吉永課長の発言は、WN社が出した独自の台風上陸情報に対する気象庁の見解の表明の場となった。
気象庁とWN社との“バトル”。その発端は10月8日に上陸した台風18号だ。気象庁は同日午前5時過ぎ、「愛知県の知多半島に上陸した」と発表したが、WN社は気象庁に先駆け、同日午前4時ごろ、「三重県志摩市に上陸した」と携帯電話サイトの登録会員にメールを送ると同時に同社HP上に掲載。同社はその後も「伊勢湾を通過」「知多半島に再上陸」といった情報をHPにアップしていった。
WN社をはじめとする民間事業者は、天気予報を行う許可を気象庁長官名で受けているが、その許可条件には「台風の進路等に関する情報は、気象庁の情報の解説の範囲に留める」と記されている。
気象庁とWN社の争いは「気象庁の情報の解説の範囲に留める」べきとする情報に台風の上陸情報が入るか否か、というものだ。
もっとも、WN社は気象庁から許認可を受けている身。気象庁の見解には従わざるを得ない。
吉永課長は演題の中で「『解説の範囲に留める情報』とは、気象庁の台風情報に含まれる台風の位置、進行方向、早さ、中心気圧、最大風速、暴風域などに関する現況および予想の情報であり、予報に限定するものではない」と言明。WN社が行った独自上陸情報は認められないとした。
「私たちはプロの気象人として、科学技術に立脚し、法令を順守し、国民の信頼に応えるような仕事を官民協力していきたいものだと思う」と締めくくった吉永課長。
「今後、独自情報が出た場合の気象庁の対処はどうするのか」との質問には、「仮定には答えにくい」と前置きした上で「実際の事例が起こった場合は、法令に基づき対処したいと考えている」と述べた。
気象庁は今回の問題についてWN社に対する処分は特に考えていないとしているが、吉永課長のこの表明は、許認可権を持つ気象庁がWN社に対し「次にやったら…」という意図が込められていた。「官」と「民」。超えられない一線が、ここにあったようだ。
監督され、情報提供受け…独自予報だす民間事業者の立場は?
かつて日本では、民間の気象予報会社は特定の契約者にしか予報を提供することができず、新聞やテレビで目にする一般向けの「天気予報」は気象庁発表しかなかった時代があった。
しかし、規制緩和の流れの中、平成5年に気象庁以外の事業者も業務として予報ができるよう気象業務法が改正され、7年に施行された。いわゆる「予報業務の自由化」だ。
気象庁によると、5年に26社だった予報業務許可事業者は現在、112社にまで増加した。もちろん、いずれの会社も予報を行うための許可を気象庁長官名で受けなければならないことは以前と変わらない。各社は気象庁の監督下、予報業務を行っているのだ。
ただ、気象業界の場合、単なる「監督官庁と民間企業」という図式だけで終わらない側面があるという。
それは気象庁が全国約1300カ所に設置された地域気象観測システム「アメダス」や気象レーダー、気象衛星「ひまわり」による気象観測データなど、予報に不可欠な膨大な情報がすべて集まる拠点でもあるからだ。
集められたデータは、いったん国土交通省の外郭団体「気象業務支援センター」に蓄積され、センターのサーバから、各民間気象事業者に送信される。情報の価格は「情報管理にかかる実費程度」(同センター)といい、最も高額なのは各気象台で10分ごとに気温や気圧などが記された「観測データ」で、月7万7400円(全国分)という。各社は速報、非速報含め40を超える気象情報の中から、必要な分だけ配信を受けることができる。
「観測自体を行うのは膨大な資金が必要となる。観測データについては気象庁に依存せざるを得ない」。気象情報会社「ウェザーマップ」(本社・東京)社長でTBSのニュース番組内で気象解説を行う森田正光さんは、気象業界の事情をこう説明する。
各事業者は、こうして気象庁から送られてきた同じデータをベースにして、予報活動を行っているのだ。
もっとも、ここに各気象予報士の「腕の見せ所」がある。「資料の見方次第で、特に曇りから晴れに変わるタイミングなどは、各社バラバラになっていることが多い」と森田さん。予報業務の自由化から10年以上が経過した日本は、複数の天気予報を見比べ、選べる時代となっているのだ。
気象庁発表は本当に正しい? 防災目的で意図的に“誤情報”も…
一方で、気象庁が“情報統制”を図ってきた分野が、今回問題になった防災情報だ。
[産経新聞]
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