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Microsoftのクラウド進出、成果は2010年に(1/2 ページ)

» 2009年12月25日 11時48分 公開
[Nicholas Kolakowski,ITmedia]

 米Microsoftは、デスクトップ主体型のソフトウェア開発モデルで今日の富を築き上げた。しかし2009年にクラウドベースのコンピューティングが登場し、ソフトウェア業界の巨人の伝統的なビジネスモデルに挑戦状を突き付けた。

 Microsoftは広範なユーザー層に狙いを定めたクラウドコンピューティングプラットフォームの開発を進めているが、これらの取り組みの成果がすべて明らかになるのは2010年以降になりそうだ。同社の取り組みの柱の1つであるWindows Azureは、2008年のMicrosoftのProfessional Developers Conferenceで発表された

 Azureプラットフォームは3つの部分で構成され、それらが連係してWebアプリケーションとサービスを実現する。3つの構成要素とは、Windows Azure(サービスとしてのOS)、SQL Azure(クラウドベースのリレーショナルデータベース)、そしてセキュアな接続およびアプリケーションの連係アクセスコントロールを実現する.NETサービスだ。

 Azure開発担当者たちは、開発プロセスの中でもう1つのクラウドベースのMicrosoft技術であるBingからインスピレーションを得た。Microsoftの検索エンジンBingは、6月にデビューした

 ロサンゼルスで開催された2009年のProfessional Developers Conferenceにおいて、Microsoftのサーバ&ツール部門プレジデントのボブ・マグリア氏は11月17日のキーノートスピーチで「この1年間、クラウドに対する業界の理解は大きく前進した」と語った。「非常にはっきりしたのは、クラウドは単なるインフラではないということだ。これはアプリケーションモデルなのだ」

 Azureの開発者たちが、Bingをクラウドベースのアプリケーションの成功例だと考えているのは、Bingが複数のデータセンター上で動作するからという理由からだけでなく、そのインフラが「Autopilot」プラットフォーム上に構築されたからだ。Autopilotはデータセンターを自動管理するための技術だ。

 「Autopilotは素晴らしいプロトタイプだが、汎用的に利用できるプラットフォームとして開発されたわけではない。そこにAzureが登場したのだ。AzureはAutopilotのアイデアを、広範に利用できるアプリケーションプラットフォームという形で汎用化した」とマグリア氏は述べた。

 企業向けクラウドプラットフォームのAzureは、年末までにコミュニティー技術プレビュー(CTP)として提供され、2010年1月1日に本格的なサービスが開始する予定だ。2010年2月にはAzureサービスが有償化される。

 Azureサービスでは、従量課金方式、サブスクリプション、ボリュームライセンスという3種類の支払い方式が用意される。いずれの方式でも、ユーザーは受信データについては1Gバイト当たり10セント、送信データについては1Gバイト当たり15セントの料金を支払い、「Consumption」(従量課金)モデルでは、インフラ利用1時間当たり12セントが課金される。ストレージの価格は1Gバイト当たり15セント。SQL AzureデータベースのBusiness Editionの価格は99.99ドルとなっている。

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