米調査会社Forrester Researchのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏によると、この問題の影響を数値化するのは容易ではないとう。
「中国でのAndroidベースの端末の売り上げがどの程度なのかは知らないが、Androidは同国で極めて有力なプレーヤーになるだろう」とゴルビン氏は語る。「オープンソースプラットフォームとしてのAndroidが魅力的なのは、安価かつフリーであるからだ。携帯電話のOEM各社は当然、中国でAndroidを採用するだろう」
ゴルビン氏によると、“Android携帯”と“Google付きAndroid携帯”の違いがあやふやになるという。これまで米国では、Android携帯はGoogleブランドを付けて販売されてきた。つまり、Gmail、Google Maps、Google Talk、Google Voiceが携帯電話にバンドルされているということだ。
「厳密な言い方をすれば、Googleが中国市場から撤退したとしても、携帯電話メーカー向けのプラットフォームとしてのAndroidには影響ないが、キャリアがGoogleのWebサービスを付けたAndroid端末を販売するという部分では影響があるだろう。これらのGoogleバックエンドサービスに一切アクセスできなくなるのは確実だ」とゴルビン氏は話す。
しかしエンダール氏の見解と同様、ゴルビン氏も、GoogleはAndroidデバイス向けのすべてのGoogle Webサービスを扱う代理事業者を中国で確保できる可能性があるとしている。だがGoogle自身の問題は、それでは解決できない。Googleは現在、Webストアを通じてNexus Oneだけを販売している。Googleが中国から撤退すれば、コンシューマーは中国で同端末を購入できなくなる。Googleは米国と同様、中国でもオンラインでNexus Oneを販売する計画だった。
さらにゴルビン氏によると、Googleが中国から撤退すれば、いわゆる“グレーマーケット”が消滅するという。これはコンシューマーがNexus Oneを購入し、それを中国に持ち込んで、China MobileのSIMカードを組み込むというものだ。「これがどういった動作をするのか、まったく予測がつかない」と同氏は話す。
Googleも今後の展開を見通せないようだ。中国からの撤退がAndroidに与える影響について質問したところ、Googleの広報担当者は「数週間にわたって中国政府と交渉し、互いに合意できる解決策を見つけるつもりだ。今後については、まだ予断を許さない」と米eWEEKに答えた。
AndroidソフトウェアとGoogle Webサービスの中国での存続が危ぶまれるような問題は数多く存在するが、ハードウェアメーカー側の状況も考慮する必要がある。中国の端末メーカーのHuawei(華為技術)とZTEはAndroidをサポートしており、中国のLenovoはAndroidベースの端末「LePhone」を2010 International CESで発表した。
スマートフォンはAndroidの動向の中核となるものだが、Googleとパートナー各社は携帯端末以外のプラットフォームに対する野望も抱いている。
ASUSやAcerといった台湾コンピュータメーカーでは、AndroidベースのNetbookを開発中であり、これらの企業がGoogleのChrome OSを搭載したマシンの開発を検討しているとのうわさもある。
Googleと中国政府との関係悪化は同国のビジネス市場にも影響が及び、ひいてはAndroidがスマートフォンからほかの形態のコンピューティングデバイスに進出する妨げにもなりかねない。
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