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Microsoftは「革新力のなさ」と「内紛」で衰退している――元幹部語る(2/2 ページ)

» 2010年02月08日 17時32分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK
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 ブラス氏はまた、Microsoftの電子書籍リーダー技術開発を、革新の失敗と内紛の例として挙げている。

 「わたしがMicrosoftに在籍していた初期のころ、われわれの部門の聡明なグラフィックスの専門家らが、ClearTypeという文字の表示法を発明した。液晶ディスプレイのカラードットを使い、画面上で文字を読みやすくする技術だった。われわれはこの技術を電子書籍の販売を支援するために組み込んだが、これはディスプレイを搭載したすべてのデバイスで、Microsoftに大きなアドバンテージを与える可能性があった。だが、ほかのMicrosoftの部門がわれわれの成功に脅威を感じ、この技術に腹を立てた」

 具体的には、ほかの部門のエンジニアや幹部が「ClearTypeは特定の色を使ったときに表示がめちゃくちゃになるとか、文字がぼやけて頭痛を引き起こすと嘘の主張をしたり」、プロジェクトを乗っ取ろうとしたりしたという。「結果、ClearTypeは世間では好評を得たし、社内でも推進され、特許も取ったが、完全に使えるバージョンがWindowsに載るまでに10年かかった」とブラス氏は言う。

 シャウ氏は、Microsoftは最終的にClearTypeを製品に統合したと主張している。ただ今のところ、電子書籍分野はAmazonなどのほかの企業に掌握されているが。「ディック(ブラス氏)は自身の主張を通すために、主にClearTypeを取り上げ、同技術は既存の事業部門によって『つぶされた』と言っている。(だが)ClearTypeは現在、すべてのWindowsに搭載されており、世界中で約10億台のPCにインストールされている。これは影響力のある革新、スケールのある革新のいい例だ」

 MicrosoftはPC向けの電子書籍閲覧ソフトでAmazonなどの企業と提携しているが、Amazon、ソニーなどの電子書籍リーダーと競合する読書デバイスの開発には関心を示していない。

 バルマー氏は2009年10月に蘭エラスムス大学で、「われわれには読書のためのデバイスがある。世界中で最も人気のあるデバイスだ。それはPCだ。われわれ独自の電子書籍リーダーには興味がない」と語ったとReutersは伝えている。

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