もう1つの有名なITドメイン名がPrime.comだ。これは、かつてDECの主要ライバルで、既に倒産して久しいミニコンピュータメーカーのドメインだが、現在は抜け殻サイトとしてWeb上に残っている。このサイトの現在の所有者は、これを実際の企業ドメインとして復活させたいという買い手が現れるのを待っているようだ。
リストで第1位のSymbolics.comも抜け殻サイトになっている。このサイトの主な目的は、Web上で最も古いドメイン名としての地位を潜在投資家に宣伝することだ。3月12日の時点で、この最初の.comドメイン名の登録25周年記念日まであと2日と18時間であることを示す時計が表示されていた。
Symbolics.comはもともと、ずっと前に倒産したSymbolicsのドメイン名だった。同社は、プログラミング言語LISPの実行用に最適化されたコンピュータを生産していた。同社は製造事業から撤退した後も、Open GeneraというLISPシステムの販売を続けた。しかしWikipediaによると、同ドメインは2009年8月に、現在の所有者であるXF.com Investmentsに売却された。
ここで注意すべきことは、リストの最初の100件のドメイン名が作成されたころは、Webはそれほどグラフィカルなものではなく、今日のように全世界で何億人ものユーザーが簡単にナビゲートできるような環境ではなかったということだ。インターネットはまだテキスト中心の世界であり、政府機関、大学、研究センター、政府の契約業社などがメッセージの送信、ファイルの転送、情報の共有などの目的で利用していたのだ。
当時はGUIの黎明(れいめい)期で、GUIはApple Macintoshや高価な専用ワークステーションなどに採用されているだけだった。1990年代初頭にWindows 3.0が何百万人ものPCユーザーにグラフィカルインタフェースをもたらしたのは、それから5年以上も後のことだ。そして主としてWindows上で動作するグラフィカルブラウザのNetscape Navigatorが、Web上に次々と登場した新しい.com URLのすべてにアクセスする機会を数百万人のPCユーザーに初めて提供したのは、1990年代も半ばになってからのことだ。
Netscapeは1994年3月に設立され、1995年8月には1株当たり75ドルでIPO(新規株式公開)を果たした。しかしMicrosoftは1995年、アドオンユーティリティの1つとしてWindows OSに組み込まれたInternet Explorer(IE)ブラウザを投入した。Netscapeの華々しい一時的隆盛に終止符を打ったのはIEだったのだ。1997年末までにNetscapeの成長が止まり、1998年初めには従業員のレイオフが実施された。1998年末近くには、元気なドットコム企業だったAmerica Online(AOL)が株式交換を通じてNetscapeを42億ドルで買収した。
だがその時点では何百万人ものWebユーザーがIEに乗り換えており、AOLは間もなく、これ以上Netscapeブラウザをアップデートする価値はないと判断せざるを得なくなった。
その短い生涯の最初の数年間を、Web上で最も人気の高いサイトの1つとして過ごしたNetscapeのドメイン名は今、どこに行ったのだろうか――このブランド名は現在、巨大なAOLドメイン内部に埋もれたサブアドレスとしてひっそり残っている。
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