こういったことを気味悪く感じる人もいるかもしれない。その場合、サービスをオプトアウトすることは可能だが、一筋縄ではいかないようだ。Facebookによると、オプトアウトしてもアプリケーションをブロックしないかぎり、友達がこれらのパートナーサイト上で自身のエクスペリエンスをパーソナライズするために、あなたに関する公開Facebook情報をまだ共有している可能性があるという。
パートナーサイト上でFacebookの通知に対して「No Thanks」をクリックすると、パートナーはあなたのデータを削除する。友達があなたの情報をインスタントパーソナリゼーションパートナーと共有できないようにするには、そのアプリケーション(Docs.com、Pandora、Yelpなど)をブロックしなければならない。
共有環境を拡大し、広告ターゲティングを改善するためだ。とはいえ、Facebookはソーシャル広告をWebサイトに掲載する方法については、計画をまだ明らかにしていない。
Altimeter Groupのアナリスト、ジェレマイア・オーヤン氏は、FacebookがWebの植民地化を目指していると考えており、次のように指摘する――「このように集約されたすべてのソーシャルコンテンツは、ユーザーとその友達の好みに関する強力なデータベースを創出させる。これは、Webエクスペリエンスとソーシャル広告のカスタマイズ化に道を開くものだ」
Fast Companyのロバート・スコーブル氏は、多数の著名なギークや専門家が懸念している問題点をまとめている。数年後には、Likeボタンを組み込んだWebサイトが例外ではなく標準になるとスコーブル氏は指摘し、「これはWebに対する強大な支配力をFacebookに与えるだろう」と語る。
わたしが懸念するのは、Facebookが邪悪な存在になり、その立場を競合企業に対して利用するのではないかということだ。Appleが競合企業に対してアプリの提供を許可しないのと同じだ(Google VoiceをiPhone上で動かしている人がいるだろうか)。Facebookが、例えばNew York Timesを遮断したいと思えば、それは可能なのだ。これほど強大な権力を1つの組織に与えるのは危険だ。たとえ、わたしが信頼しているFacebookのような企業であってもだ。わたしがGoogleにこの問題の打開の手掛かりを期待しているのもそのためだ(同社はまだ期待に応えていないが)。
GoogleはFacebookのようなソーシャル指向の企業ではなく、多くの人々は、Googleではなく、新しいソーシャルWeb計画を打ち出したFacebookが主要な検索・広告手段になると考えている。
Deep Focusのアイアン・シェイファーCEOはAdvertising Ageに「人間関係、好み、場所、仮想インタラクションなどから収集した情報はいずれ、広告主にとってクリックスルーや検索傾向よりも貴重なものになるだろう。これはFacebookがやがて、広告分野でGoogle AdWordsやAdSenseをしのぐ存在になる可能性があることを意味する」と書いている。
GoogleでWebのオープン化を推進するクリス・メシーナ氏は、FacebookのOpen Graph APIはあまりオープンではないと考えているようだ。
すべての好みがFacebookにつながり、好みを示すためにはFacebookのアカウントが必要になり、人々とコンテンツとの間のインタラクションをめぐるメタデータや好み情報のすべてをFacebookが取り込むようになれば、エコシステムから可能性と混沌(こんとん)が奪われる。この2つの要素がIT業界を面白く、競争に満ちたものにさせているのだ。セマンティックレイヤーとアイデンティティーレイヤーがWeb上に出現することと、これらのレイヤー上のすべてのインタラクションが1社のプロバイダーを経由するようになるのとは、まったく別の話だ。
FacebookのユニバーサルなLikeボタンに対して、オープン標準推進論者の多くが批判的だ。Hunchの共同創業者のクリス・ディクソン氏は、FacebookによるソーシャルWeb推進の動きに反発し、Webサイト間でソーシャルデータを共有するための標準ベースのアプローチとして「OpenLike」をほかのプログラマーたちと共同で開発した。
「FacebookとTwitterがWebを支配しようとしているのに、皆、居眠りしているように見える」とディクソン氏はGigaOmで述べている。OpenLikeは影響力を及ぼすことができるだろうか――Googleがそれを採用して後押しすれば、恐らく可能だろう。
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