ITmedia NEWS >

iPadを使ってみた――素晴らしいがまだ未熟(2/2 ページ)

» 2010年05月25日 07時00分 公開
[P. J. Connolly,eWEEK]
eWEEK
前のページへ 1|2       

 ほかの人も指摘しているのだが、iPadはコンテンツの作成よりも、視聴のツールとして扱うのが一番いい。これはAppleのiWorkのiPad版にも現れている。これらアプリは非常に基本的な機能は備えているが、単純なデータ入力と書式設定以上の作業をするには、「本物」のプレゼンテーションソフトや表計算ソフト、ワープロソフトが載っているコンピュータに文書を移さなくてはならない。

 iPadはiPhone向けに設計されたアプリのほとんどを動かせるが、満足がいく使い心地とは言えない。デフォルトではiPhoneと同じ解像度で表示されるが、表示を2倍に拡大することは可能だ。もとのアプリのデザインのなめらかさが失われてしまうが。わたしが見つけた拡大表示の唯一のメリットは、多少近視の人にとっては、読書用メガネをかけるよりいいかもしれないという点だ。

 iPad向けに設計されたアプリはずっときれいに見える。先に述べたように、このようなアプリの数は時間がたてば増えるだろう。

 当然予想されるように、iPadはAppleがiPhone向けに提供しているのと同じツールを使って、ビジネス環境で管理できる。この無料ツール「iPhone Configuration Utility」は、iPhoneにもiPadにも使えて、Mac OS XマシンにもWindows PCにもインストールできる。iPhone OS 4.0ではデバイスをもっと管理しやすくなるだろうが、現行のツールは分かりやすく、IT部門の懸案事項をかなりカバーしている。

 このユーティリティを使えば、携帯キャリア、Wi-Fiネットワーク、VPNアクセス用のプロビジョニングプロファイルを設定できる。電子メールアクセスをPOPやIMAP、CalDAVベースのカレンダーサーバ、アップデート版のMicrosoft Exchange 2007サーバに設定することも可能だ。

 ExchangeはiPhone OSクライアントをActiveSyncデバイスであるかのように認識するため、IT管理者はiPhoneの紛失・盗難の際に、Exchangeサーバからリモートでデバイス内のデータを消去できる。この場合、「消去」というのは少々語弊がある。最近のデバイスでは、データ暗号鍵を安全に消去して、通常の手段ではデータを復元できないようにする手法を取っている。

 このリモートワイプ機能をテストしたときは、iPad上で機能を起動してから数秒しかかからなかった。接続は無線LAN経由だったが、WAN接続でも同じように使えて、電子メールで連絡が来る。迷うようなことはない。デバイスのデータが消去されたら、消去を確認する電子メールと、デバイスが見つかったときに再接続する方法が管理者に送られてくる。

 おそらく、iPadのデータをバックアップする一番簡単な方法はiTunesを使うことだろう。リモートワイプのテスト後、システム構成とユーザーデータを復旧するのに数分しかかからなかった。

 ExchangeのActiveSyncにはパスコード要求の機能をカバーするポリシーなど、幾つか重複するポリシーがあるため、iPhone OSデバイスではポリシーをまとめて設定できる。ActiveSyncのポリシーでもAppleの構成ツールのポリシーでも、厳しい方がデバイスに適用される。

 最後に、iPhone Configuration Utilityを使うとアプリやコンテンツへのアクセスを中央管理し、「露骨に性的な」メディアへの接続を禁止できる。ペアレンタルコントロールの一形態として、デバイスごとにこうした禁止事項を設定することも可能だ。

 全体的に見て、iPadは非常に素晴らしいデバイスで、わたしが持っている本と同じくらいの重さの本体にたくさんのものが詰め込まれている。分別のある人ならばiPadを汎用デバイスとしては勧めないだろうが、この製品は既にビジネス用途へと進出している。時間がたつにつれてアプリは増え、有用性は高まっていく。だが、数カ月後にOSアップデートを約束したこと、カメラなどの機能を省いたことで、Appleは既に自らのハードルを引き上げている。

前のページへ 1|2       

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.