Bingは現在、MicrosoftのWeb戦略の中心である。市場シェアという観点からも広告という観点からも、検索は急速にWebの主戦場になりつつある。しかしMicrosoftは、検索のことだけを心配していればいいというわけではない。運が良ければ、Microsoftは検索市場でのシェアをこれからも拡大できるだけでなく、クラウドソリューションを求める顧客を満足させることもできるのだ。また同社は、WebベースのOfficeスイートの取り組みも強化すべきだ。インターネットは検索がすべてではない。Microsoftはそのことを忘れてはならない。
広告事業はいずれ、Microsoftの命運を左右することになるだろう。Googleは現在、広告事業に注力してきたおかげで、何十億ドルもの収益を生み出している。さらに、米AdMobを最近買収したことにより、Googleは今後も長期にわたって広告収入を伸ばしていきそうだ。Microsoftはそれほど幸運ではない。同社の広告事業はGoogleの前にかすんで見える。広告分野でメジャープレイヤーになることを目指して熱心に努力していると同社は主張しているが、その目標達成には程遠いのが実情だ。強力な広告プラットフォームがなければ、Microsoftの将来はあまり明るくはない。
SNSは非常に重要な市場だ。今のところ、この分野でのMicrosoftの取り組みは限定的なもので、Facebookに投資して同社の株式の一部を取得したという程度だ。だがこれではまったく話にならない。MicrosoftがWebで成功したいのであれば、SNS分野で十分な存在価値を示す必要がある。それは、同社がFacebookやTwitterを一気に買収すべきだという意味にもなるだろう。確かにこれは大きな費用が掛かる話だ。しかしMicrosoftが四半期ごとに生み出す収益の大きさを考えれば、ためらうほどの金額ではない。SNSは、MicrosoftがこれからWebで活躍するのに欠かせない分野だ。同社はそのことを肝に銘じるべきだ。
これはMicrosoftにとってショックなことかもしれないが、オフラインソフトウェアはいずれ死ぬという事実を同社はそろそろ受け入れなければならない。その時がいつ来るのかは誰にも分からない。10年後には、Webがオフラインソフトウェアよりも充実したエクスペリエンスを提供するというのは、十分にあり得る話だ。10年では無理だとしても、20年後にはそうなるかもしれない。しかしいずれにせよ、オフラインソフトウェアは最終的にインターネットの前に消え去るだろう。そしてそうなった時点で、Microsoftはこの変化する市場をチャンスに変える準備が整っていなければならない。現時点では、Microsoftはインターネットを収益拡大の手段として活用しているというのには程遠い状況だ。オフラインソフトウェアがいずれ死ぬという事実を受け入れることにより、Microsoftは将来に照準を合わせることができるのだ。その事実を認めない限り、同社は間違った市場にあまりに多くの精力を傾注し続けることになるだろう。
Internet Explorer(IE)は今でもトップブラウザだが、Microsoftは市場に出回っている他社のWebブラウザをすべて滅ぼそうとするのをやめるべきだ。確かにIEはかつて、同社のビジネスと不可分だったが、今日、その影響力は衰えている。そして独禁法当局や政府の規制当局がIEを問題視するなど、同Webブラウザはかつてなく厳しい批判にさらされている。MicrosoftはWebブラウザ競争を素直に受け入れるとともに、IEの多数の欠点を修正する作業に真剣に取り組む必要がある。結局、Webブラウザはインターネットへの入り口なのだ。WebユーザーがIEに頼らなくなれば、彼らは恐らくMicrosoftのWebサービスも利用しなくなるだろう。
他社製品に対する優位性として機能性と生産性を押し出すことに全歴史を捧げてきたMicrosoftにとって、Webの主要な要素の1つがエンターテインメントであることを認めるのは難しいかもしれない。しかし同社がそれをチャンスにする手段を見つけ出さなければ、クラウドで苦労することになるだろう。音楽や動画を再生したり、エンターテインメントを通じてWebエクスペリエンスを充実させているWebユーザーは、かつてなく増えている。Microsoftはこれまで、こういったユーザーの願望をかなえる取り組みをほとんどしてこなかった。一方、Googleは世界最大のエンターテインメントリポジトリであるYouTubeを保有している。Microsoftが今からYouTubeを獲得するわけにはいかないが、ユーザーにエンターテインメントを提供する手段を何とか見つけ出さなければならない。エンターテインメントはWebユーザーにとって本当に重要なものなのだ。
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