しかしブリスター氏は5月18日付のブログ記事の中で、Microsoft製品に戻った理由を述べるとともに、Google Appsの欠点を示唆した。
「BPOSは、Serenaが社内の共同作業ならびに顧客やパートナーとのコラボレーションを効率化するのに役立つ。しかもコンテンツの紛失や、顧客がドキュメントを開いたり編集したりできないといった事態に対処しなくても済む。特にExchangeについては、スケジュール管理機能と連絡先管理機能で右に出る製品はない。これらの機能は、Serenaのようなグローバル企業にとって極めて重要だ」と同氏は記している。
ただしこのブログ記事は、Serenaのサイトではなく、Microsoftの「TechNet」サイトに掲載されたものだ。米eWEEKでは念のため、ブリスター氏に説明を求めたところ、Serenaでは8月末までにBPOSの運用を開始する予定だと同氏は語った。
「わたしの意見では、Googleの連絡先管理機能は存在しないに等しい」とブリスター氏は語る。同氏によると、SerenaがGoogleを選んだのは、当時クラウドコラボレーションを提供していた有名企業はGoogleしかなかったからだという。「Googleの場合、プロフェッショナルな顧客サポートも欠如している。エンタープライズ市場は同社のビジネスの2〜3%を占めるにすぎず、彼らはこの分野には2〜3%の力しか注いでいないと思う。しかるに、エンタープライズはMicrosoftの得意分野だ」
さらに同氏によると、Gmailがオフラインになっているときに添付ファイル付きの電子メールを転送すると、相手にメールが到着した時点で警告もなしに添付ファイルが削除されていることが時々あったという。GoogleのサポートチームはGmailのオフライン機能を無効にするようSerenaにアドバイスしたが、ブリスター氏の見解では、これは受け入れ難いソリューションであるようだ。
「ほかにも問題があったが、結局、Google Appsは成熟化のペースが鈍化しているのに対し、MicrosoftはBPOSでペースを上げてきたということだ」とブリスター氏は指摘する。
「Googleは現時点で期待されるレベルまで成熟しておらず、率直に言って、われわれにとってはMicrosoftの方がずっと優れている」とブリスター氏は語る。同氏はSerenaの800人の従業員向けにGoogle Appsを配備する前に、18カ月間にわたって同製品を熱心にテストしたという。
ブリスター氏の指摘に対してGoogleは、同社のこれまでの実績や、Google Docsなどの製品の斬新な機能を強調するといった無難な反応を示している。Google Docsは最近、大幅な改良が加えられ、Microsoftドキュメントを忠実に再現することが可能になった。
「無償というのはすごい価格だ。ロン(ブリスター氏)の幸運を祈る」とGoogleの広報担当者は話している。「当社の製品にも常に改善の余地が存在し、われわれは顧客のフィードバックを真剣に受け止めている。今後も最高のサービスとサポートを提供する努力を続けるつもりであり、この姿勢は当社の顧客の更新率が90%以上であるという事実にも反映されている」
いずれにせよ、SerenaとMicrosoftの熱い友情は、IBM、Zoho、Cisco Systemsなど多数のコラボレーションプロバイダーがひしめく中で、Googleにとって手ごわいライバルが現れたことを示す小さなサインだと言えそうだ。
その強敵Microsoftは、メッセージングとコラボレーションの市場で最初の大きな成果を手にした。「温故知新」という言葉はクラウドでも通用するようだ。
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