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Appleは反競争的か――モバイル広告めぐり当局が動き出す(2/2 ページ)

» 2010年06月21日 08時36分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
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 今回のAppleの規約改正は、iAdをiPhoneアプリ内広告配信の最大手にする道を開く。iAdは、GoogleがAdMobを買収した後でAppleが買収したQuattro Wirelessの技術を基にしている。

 Jefferies and Co.のアナリスト、ユーセフ・スクワリ氏は、この規約改正はデベロッパーにとって健全ではないと語る。

 「意外ではなかったが、iPhoneアプリから収益を得るのに、iAdやその他の小規模ネットワークに依存しなければならないアプリ開発者にはいいニュースではない。Androidスマートフォンはまだ米国の市場シェアという点でiPhoneに後れを取っているが、過去12カ月間で5倍に伸びており、非常に勢いがある」(同氏)

 「従って、われわれはGoogle、Android、AdMobのエコシステムがアプリ開発者にとって非常に意味のあるものであり続けると見込んでいる。Appleの今回の行動は、われわれが繰り返し主張してきたことが正しいと証明している。それは、GoogleがオープンソースモバイルOS開発に投資したのは、賢明だったということだ。多くの人が求める、競争的な妨害はしないという保証を与えている。このような妨害は今やAppleで現実となりつつある」

 それでもモバイル広告市場は緒に就いたばかりである――デスクトップ検索におけるGoogleのような、圧倒的優位に立っている企業はない――ため、規制当局がAppleを(独禁法違反で)立件するのは難しいかもしれない。

 Search Engine Landブログでこの問題を分析している業界アナリストのグレッグ・スターリング氏はそうした見方に同意し、次のように語っている。

 「(規約改定の)影響または意図、あるいはその両方を考えると、Appleは本当にAdMob経由で競争上重要な情報が出て行くのを恐れているのだろうか。また、特にGoogleを締め出そうとしているのだろうか」

 「この件はまだ市場が解決できると思うが、政府の関与が必要になるときもある。そこに至ったと考えてはいけない。例えば、Appleがスマートフォン市場で60%のシェアを持っていたら、その(政府の介入が必要な)時かもしれない。モバイル世界でのAppleの認知度はシェアの割に誇張されている。ユーザーが最も活発だからだ」

 皮肉なことに、FTCは広告市場でのGoogleの勢力拡大を抑えるために、同社のAdMob買収を阻止する訴訟を起こすところだった。

 だが、Googleやその他専門家に、AppleのiAdによって市場の競争は保たれると説得され、買収を承認した

 iPhoneから締め出されたのはAdMobとGoogleだけではない。

 AppleはAdobe SystemsのFlash技術をiPhone、iPadでサポートすることを拒否した。また、AppleはWebベースの音楽サービス立ち上げを準備していると言われており、同社の音楽ビジネスへのアプローチに対する懸念もある。

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