HPがテレビのインフォマーシャルで宣伝しているように、この買収の効果はそれだけではない。Palmは既に、webOSを搭載したスマートフォンの開発を続ける方針を明らかにしている。同社は既存のデバイスである程度の成功を収めてきた。今回の買収の結果、開発資金の増大に加え、従来よりもはるかに巨大な市場にアクセスできることにより、Palmは伝説的なPalm Pilotで開拓した端末市場で再び活躍するチャンスを手に入れることができるかもしれない。
電子メールプラットフォーム、電子手帳およびWebブラウザの機能を備えたフルタッチスクリーン型端末を初めて投入したのは、Palmだということを忘れてはならない。これらのPalmデバイス(最後のモデルは「Palm TX」)は、もうPalmから販売されていない。しかしその技術はまだ健在であり、iPhoneやAndroid端末と競争できるタッチスクリーン型のタブレットと携帯電話の開発でPalmが重要な役割を果たすのは間違いなさそうだ。
もう1つの重要なポイントは、Palmデバイスには多数のアプリケーションおよび専用のアプリケーションストアが用意されているということだ。Palm Pilotも生産中止になる前には、数千本のアプリケーションが存在していた。HPとPalmのチームは、携帯端末市場で大きな勢力になる可能性がある。だがその成否はもちろん、両社がそれぞれの能力と資産を生かせるような形で統合できるかどうかに大きく懸かっている。
そしてもちろん、すべては両社の合併がうまくいくかどうかに懸かっている。HPはPalmの企業文化を受け入れ、同社の技術者と開発者を満足させ、彼らがずっと必要としながらも手にすることができなかったリソースを提供する必要がある。一方のPalmは、同社が生き残る唯一の希望は、より大きな企業に買収されることだったという事実を受け入れる必要がある。本当に優れた製品を開発する自由をPalmに与えてくれる企業を選ぶ必要があったとすれば、HPよりも良いパートナーを選ぶのは難しかっただろう。
しかしこのように言うのと、実際にそうなるのとはまったく別の問題だ。HPはこれからも、Palm買収に付随する多数の障害を克服しなければならず、買収の成果が現れ始めるのはそれからだ。一方、Palmの従業員がHPの膨大なリソースを有効に活用するためには、同社の組織構造の中で仕事をする方法を学ぶ必要がある。両社の合併は巨大な可能性を秘めているが、現時点ではそれはあくまで可能性にすぎない。もしすべてがうまくいけば、数カ月後に携帯端末市場で新たな現実を目の当たりにできるだろう。それは喜ばしい変化になりそうだ。
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