部屋にはジオラマ以外にも楽しみが。鉄道関連のDVDや雑誌が置かれており、自由に見ることができる。ゴミ箱や棚には、「出雲」「日本海」「富士」など、寝台特急の名前が書かれた丸いシールも。列車の先頭部に掲げる飾り看板「ヘッドマーク」と同じデザインだ。
窓の外には、秋葉原駅から続く線路が見え、京浜東北線や山手線、新幹線を寝ながら眺められる。記者はピカチュウが車体に描かれた新幹線を目撃。電車が通ると「おっ! 次は何が来た?」とついついカメラを構えたくなった。鉄道ファンにとっては、眠る時間が1秒でももったいない部屋なんだろうと、感じた。
ホテルのリニューアル時に「地域密着」を掲げ、「アキバならでは」の取り組みを行おうと計画を練るなか、鉄道部屋のアイデアが生まれたという。秋葉原は、JR東日本の交通博物館が2006年まであり、今でも鉄道模型の販売店が多いなど、鉄道との関わりが深い街。ホテルの総務課長が鉄道ファンということもあり、実現した。
地域密着を意識したサービスはほかにもある。モーニングコールだ。秋葉原といえばアニメや“萌え”のメッカ。そこで、声優を目指す「東京アニメーター学院」の学生の声で起こしてもらえるサービスを用意した。
「おはようございます! あれ? もう起きてましたか。ぐっすり眠れましたか? 今日も1日頑張ってくださいね! あっ、二度寝なんかしちゃだめですよ!」――設定した時間に部屋の電話が鳴り、明るくはきはきした女性の声で起こす。
せりふは1種類で、声を吹き込んだ学生が考えた。担当する学生はホテル側が面接して選抜しており、毎月変わる。毎朝、目覚まし時計のアラームに起こされ、イラっとしがちな記者は、モーニングコールを聞いて癒やされた。
オリジナルの「秋葉原マップ」も用意している。「文化(サブカルチャー)」、「ビジネス」、「歴史観光と老舗お食事処」の3種。例えば歴史観光と老舗お食事処では、湯島聖堂やニコライ堂を――という感じで、テーマに合ったスポットを写真付きで紹介する。従業員が実際に秋葉原を歩いたり、ネットで調べながら作ったもので、宿泊客に配布している。
気の済むまで鉄道模型で遊び、線路を眺めながら眠りに就き、声優の卵のかわいらしいモーニングコールで目覚め、マップを手に秋葉原に繰り出す──ホテルを起点に、“アキバライフ”を満喫してみてはいかがだろうか。
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