米OmniTIのテオ・スクロスナグルCEOは「Oracleはオープンソースコミュニティーの管理が下手なことで有名だ。IBMはまあまあだ――“上手”だと言ってもいい。この協調がなければ、企業顧客はオープンJavaとそのコミュニティーの将来について不安になっても無理はない」と述べた。
スクロスナグル氏は次のように続けた。「OracleはSunが時間をかけて構築し、育てたOpenSolarisのコミュニティーを殺したばかりだ。OracleがOpenSolarisに対して行ったことは、同社の企業顧客の多くの信頼を明らかに揺るがせた。従って、Oracleが所有するほかのオープンソースの取り組みに関しても、不確実さが漂っているのだ。IBMの参加は、この状況を確実に安定させる」
IBMは、オープンソースのJava実装であるApache Harmonyを支援してきた。だが、スミス氏によると、OpenJDKはHarmonyから幾つかのクラスを採用するという。「われわれは、1つのオープンソースプロジェクトでの協調が、Javaコミュニティー全体に、より速く力強いイノベーションをもたらすと判断した」とスミス氏はeWEEKに語った。「従って、Apache Harmonyに関しては、IBMはHarmonyプロジェクトの活動支援は続けるが、OpenJDKを戦略的かつ主要なJava SEのオープンソースフォーラムと位置付ける予定だ」
一方、スミス氏、リズビ氏、Oracle Fusion Middlewareを担当する副社長のアダム・メッシンガー氏は、JCPに変化と進展がもたらされ、開発者の利益になることを期待すると語った。
Eclipseのミリンコビッチ氏は「OracleとIBMがブログの記事で、JCPのガバナンスに関連し、Java 7向けJSRが近いうちに登場すると発表しているコメントに興味がある。われわれがJCPを前向きな方向に動かすことができれば、Javaエコシステムは本当に勢いを盛り返せるだろう」
IBMのソフトウェア部門でオープンソースおよびLinux担当の副社長を務めるボブ・スーター氏はブログで次のように述べている。
IBMはこの協調を現実的な選択だと考えている。当初はSunが、今ではOracleが、Javaの重要なテストと検証テストのためのJava SE TCKをApacheで利用できるようにする可能性はないことがはっきりしてきていた。それには反対だが、わたしたちに決められることではない。そこで、Harmonyを非公式で認証されていないJavaとして推進し続けるよりも、方向転換してOpenJDKに注力することにしたのだ。われわれの関与は徹底したものになるだろう。リーダー的な地位を占める計画であるし、コミュニティーのほかのメンバーとともに、プロジェクトの管理方法や技術的な方向性について強く主張していくつもりだ。
われわれはまた、長らく求められてきたJCPの改革――JCPを、より民主的で透明性を持ち、オープンなものにする――の実現にも期待している。IBMとOracleは長年こうした変革のために働き掛けを行っており、今回その実現を見ることができたのは喜ばしい。時は来たのだ。
スーター氏は最後にこう書いている。「OpenJDKは、最高のオープンソースの統合Javaランタイムを提供する絶好の機会だ。顧客は、協力的かつ建設的に開発された第一級のJavaのオープン標準を得ることができる。そしてわれわれは、重複するプロジェクトで時間を無駄にする代わりに、共同作業に全力を注ぐことができる」
IBMはこれまでOpenJDKから距離を置いていたのになぜ今になって参加を決めたのかと尋ねられたスミス氏は「(Oracleから)電話をかけてきたのだ。結局、(この選択は)われわれにとって最善だ」と述べた。
一方、Javaエコシステムに参加する大手企業の幹部でJava開発者でもある匿名希望のある人物は次のように語った。「OracleもIBMも、Java技術を利用している企業から大きな利益を得ている。両社が最も避けたいのは、これらの企業にJavaは安全ではなく、停滞気味で、分裂していると思われることだ。今回の発表は基本的に、両社が自分たちの打ち出の小槌に対して『Javaは安全で、これまでも、現在も、未来においても素晴らしい選択肢だ。だからわれわれに金を払え』と言っているのだと思う」
“Javaの父”、ジェームズ・ゴスリング氏はOracleとIBMの動きについて、eWEEKに次のように語った。
非常に漠然としているが、希望はある。一方では「これは単なるビジネス」で、休戦は両サイドにとって最善のことだ。他方では、両社はそれぞれ世界の支配者になりたいと思っている。わたしは、両社がそれぞれ屈辱を受け入れたことに少し驚いている。これがJCPの行き詰まりの打開につながるといいと思う。いい一歩だ。コミュニティー全体でOracleとJavaの動きを監視することが役立つだろう。
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