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» 2010年10月21日 18時29分 UPDATE

中堅・中小企業のニーズを正確にとらえよ

さらなる売り上げ増に向けて今、中堅・中小企業をターゲットに積極的な営業活動を展開するIT企業が多い。Dellで同マーケット分野を統括する責任者に戦略などを聞いた。

[伏見学,ITmedia]

 金融危機の影響などにより大企業の多くでIT投資が落ち込む中、販路拡大の新たな源としてIT企業が躍起になっているのが、中堅・中小企業(SMB)市場の攻略である。しかしながら、大企業以上に深刻な不況の打撃を受けているのがSMBであり、彼らにとってコスト削減が大命題であることに異論を挟む余地はないだろう。

 企業の情報システムに対してほとんど投資できないSMBをいかに取り込んでいくか、多くのIT企業が頭を悩ませている。そうした中、SMBをターゲットにしたソリューションで着実な成長を遂げているのが、Dellである。

 Dellといえば、クライアントPCやサーバ、ストレージなど主にハードウェア製品を提供するベンダ企業としての認知度が高いが、そうした市場のイメージだけでなく、Dellの実体そのものも変革すべく、顧客に対する提案をソリューション志向やサービス志向に移行しつつあるという。これらの事業をグローバル全体で統括する、同社のサービス&ソリューションズ部門 コンシューマー スモール&ミディアムビジネス(CSMB)グループでバイスプレジデントを務めるティム・グリフィン氏は、ソリューション志向に転換する上で「(Dellの)ブランド認知の変革と、顧客との対話における変革が重要だ」と強調した。

SMBのためだけのサービスを構築

Dellのサービス&ソリューションズ部門 CSMBグループでバイスプレジデントを務めるティム・グリフィン氏 Dellのサービス&ソリューションズ部門 CSMBグループでバイスプレジデントを務めるティム・グリフィン氏

 ブランド認知の変革については、企業買収や他社とのパートナーシップに注力することで、包括的な製品ポートフォリオを市場や顧客に対して示していく。具体的には、iSCSIストレージ専業ベンダであるEquallogicや、サーバ仮想化管理ツールを手掛けるScalent Systemsなどを買収したほか、ストレージベンダのEMC、ネットワークベンダのJuniper NetworksやBrocade Communications Systems、セキュリティ分野のバリオセキュア・ネットワークスなどとのパートナーシップを構築、強化している。

 実は、こうした取り組みはブランディングのためだけではない。企業買収やパートナーとの連携によって製品ポートフォリオを拡充することで、SMBに特化した、あるいは、SMBのニーズに合ったソリューションやサービスを提供していくことにつながるのだ。

「Dellでは、大企業や官公庁向けに提供している製品やソリューションを、単に規模を小さくしたり、機能を減らしたりして『これがSMB用の製品です』とすることは決してない。それぞれのレイヤーに特化したものを一から構築しているのだ」(グリフィン氏)

 実際に、SMB向けソリューションに関しても、小売業や製造業をはじめ業界に特化したアプローチと、システム管理やデータ管理、セキュリティなど顧客が抱える課題に沿ったアプローチの両方向から商品を開発しているという。グリフィン氏は「SMBは大企業と比べてコストに対する意識はさらにシビアだが、ただ安価なものを提供すればいいということはなく、(コスト以外でも)SMBのニーズに応えるものでなくてはならない」と述べる。

“真”の課題を見つける

 ソリューション志向に変革するために、顧客との対話にもメスを入れていく。従来からDellは、カスタマーセンターにおけるユーザーとの直接コミュニケーションや、法人向けの直販営業など、顧客とのリレーション作りに力を入れてきた。現在、約1000万社のSMB顧客を抱えているほか、カスタマーセンターでは全社で年間20億コールものやり取りがなされている。

 また、日本国内の法人向けサポートについては、その機能を中国・大連から宮崎県の「デル宮崎カスタマーセンター」に全面移行し、500人の社員が24時間365日体制で対応に当たるなど、業務品質や顧客満足度の向上に努めている。「こうした実績自体はDellの資産であり今後も大切にしていくべきだが、さらなる成長のためにはこれを土台に新たな変革を進めなくてはならない」とグリフィン氏は意気込む。

 具体的な取り組みとしては、顧客の“真”の課題を見つけ出し、それに対する解決策や改善案を積極的に提示していくプロアクティブなサポートが不可欠だとしている。例えば、Dellが顧客に提供したシステムをリモート環境でモニタリングし、問題が発生したら迅速に適切な処置を施すほか、データのバックアップや、インシデントの追跡、調査などを行う。「顧客から製品が故障したという問い合わせを受けて、単にそれを修理するだけではなく、顧客の課題解決に向けて主体的に提案することが重要だ」とグリフィン氏は力を込めた。

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