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iPadでアナログシンセの名器復活! 「iMS-20」開発チームに聞いてみた(4/6 ページ)

» 2010年12月20日 16時34分 公開
[松尾公也,ITmedia]

KAOSS PADが2つある理由

松尾:KAOSS PADが2発あるじゃないですか。これがすごくいいんですよね。

福田:もともとDS-10についていましたので。2個にしようというのは、どちらかというとUI都合ですね。1個だとさびしいな、と思って(笑)。画面に適したサイズで配置したら自然にそうなったということですね。

松尾:マルチタッチなんで、左手でグリグリしながらスケールをいじったりできる。キーも選べるし、トーンもいじれる。

佐野:いまだにDS-10の感覚が強いんで、いまだにシングルタッチで使ってしまう。シンセ画面で鍵盤出しつつツマミを動かす、というのは昔の印象が残っているんでやれるんですけど。ちょっとまだ慣れてないですね。

松尾:佐野さんでも。

佐野:いつのまにかやってるんですよ。イカンイカン、と(笑)

岡宮:でもライブ映えしそうですよね。

松尾:右のピッチとゲートというのは決め打ちですよね。

福田:それは最初からそうしようと思ってました。

中島:ゲートとピッチというのはどんなときでも重要だと思われるので決め打ちで。もう1つはアサインできるようにしようと。

UIへのこだわり

松尾:iELECTRIBEのときもそうでしたけど、UIへのこだわりってのは今回もありそうですね。パラメータをコントロールする方法としてロータリー(つまみのように回す)とリニア(上下方向に動かす)の両方があったりとか。

佐藤:今回、リニアにはかなりこだわりを持ってるんですよ。センスもつけたんですよ。

松尾:センスとは?

佐藤:リニアにしたとき、指の移動距離とパラメータの可変幅の相関を変えられるんですよ。ここは佐野さんのこだわりで。

佐野:ぼくだけでしたね、リニアが好きなのは。みなさんロータリー、ロータリーって(笑)

佐藤:開発中のときはセンスが10段階あったんです。

福田:10段階つけてて、誰がどのくらい使っているかを統計とって。

佐藤:その統計を取った、選抜の4段階ですよ。リニアでもかなりいい感じで使えると思います。それに応じて、ツールチップの場所も変えられるというこだわりも。

松尾:ところで、SQ-10部分はどうやって操作していったらいいんですかね? 1個1個つまみをいじるというのも大変でしょうし。なんか効率的でおもしろい技とかないですかね?

福田:アナログシーケンサーですから、という感じで。

佐藤:簡単にやろうとするなら、鍵盤で入れるか、KAOSS PADで録音するか。

福田:それを後で微調整するとか。

松尾:ピアノロールでお願いします、という人もいるようですが、がんとしてはねのける?

佐藤:はい(笑)。だって、ここにピアノロールが入ってたら世界観が崩れちゃうじゃないですか。

中島:できてくる音が変わってくると思うんですね。アナログシーケンサーですし、送りのモードとかもありますし、偶発的に生まれてくるものがピアノロールより多いかな。送り方を変えるだけでも自分が作ったものと違うパターンが生まれてくるので。例えば奇数・偶数とかだけでも、自分が意図したものと違うシーケンスになるわけですよ。そのへんもいいところだと思います。

※送りのモード:シーケンスを流す順番を変更するためのオプション「SEQUENCE MODE」が6種類用意されている。

福田:シンセのパラメータの一部みたいな感覚があるんですよね。

中島:MS-20とSQ-10、2台で1台みたいな。

佐野:ローランドでTB-303てあったじゃないですか。あれじゃないと出てこないフレーズってあるんですよね。あれの打ち込みを面倒くさい、という人は、あれじゃないとできないフレーズがあるというのに理解を示さない。今回もアナログシーケンサーじゃないとできないフレーズってのはやはりあるんですよ。最初から作ろうとすると。iMS-20で作ったフレーズをそのままDAWでコピーしようとすると、それは当然できるんですけど、最初にそのフレーズがでてくるか、というと、出てこないんですね。そのおもしろさ。「インタフェースで音楽が変わる」みたいな。そこは感じてほしいですね。「うわー、鬱陶しいな、1個ずつやんなくちゃいけないんだ、もういいや、あとは適当で」みたいなところから新しいフレーズが(笑)。

松尾:それをランダムに変えてみたりとか。

佐野:あとはポリリズムみたいなこともしやすいんで。ドラムのトラックを全部ポリリズムで走らせたりとかもできるんで。普通のシーケンサーじゃ、なかなかそういうことをやろうと思わないじゃないですか。

パッチング

松尾:iMS-20のパッチは変ですよね。1カ所からたくさんのケーブルが出てくるという。実機ではできないようなことができる。

佐藤:福田がパッチにはまってしまい、なんにでもパッチさせようとしていて(笑)。

松尾:その一方で、挿さるところにしか挿せないようになってる。

福田:エディットのしやすさを考えてそうしました。OASYSのオプション音源LAC(Legacy Analog Collection)で実現していたマルチ出力も、そこからフィードバックを受けて追加しました。

佐藤:KORG Legacy CollectionのMS-20を元に開発したOASYS用のMS-20があって。OASYSのMS-20はすごいですよ。これは触らないとだめですね(笑)。パッチケーブルの色も変わりますしね。

OASYSはオプション音源としてMS-20EXが搭載可能だった。

福田:MS-20EXのパッチ部にはアナログミキサーが2系統ついてるんですよ。細かいコダワリが詰まっています。

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