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スマホウイルスはどのくらい怖いのか?記者も感染しました……(2/2 ページ)

» 2011年11月11日 10時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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OS別にみるウイルスへの耐性

 スマートフォンのOSには幾つかの種類がある。米国や日本ではiOSやAndroidがおなじみだが、海外ではSymbianユーザーもいまだに多く、スマートフォンウイルスの脅威に晒されているという。ヒッポネン氏は、ウイルスの脅威にある程度強いOSとしてiOSとWindows Phoneを挙げる。

 この2種類のOSは、スマートフォンウイルスの温床となりがちなアプリの流通過程で厳しい審査が実施されているためだ。「実際、何十万種類もあるiPhoneアプリではまだウイルスが見つかっていない。Windows Phoneは登場して間もないが、MicrosoftはApple並みの審査を徹底していくだろう」(ヒッポネン氏)

 一方でAndroidは“オープン”をウリにしているだけに、基本的に開発者は自由にアプリを公開できるようになっている。現在では攻撃者がこれを逆手に取り、正規のアプリにウイルスを混入させて再配布するケースが後を絶たない。実際にAndroidマーケットでアプリ名を検索すると、同じアプリなのに何人もの開発者が結果に表示されるシーンを目にすることができる。問題のアプリが見つかるとGoogleが削除するという“いたちごっこ”の状態になり始めた。

 ヒッポネン氏は、この状況が遠い将来に深刻な問題になるかもしれないとも警鐘を鳴らす。Androidはスマートフォンだけでなく、今やタブレット端末やPC、カーナビといったさまざま機器にも利用されており、世界中にこうした機器が広がれば、最もウイルスのリスクが高いOSになってしまう可能性があると話している。

ウイルス以外の脅威

 またヒッポネン氏は、スマートフォンではウイルス以外にフィッシング詐欺の脅威も存在すると指摘する。フィッシング詐欺とは、実在する正規の企業や組織、商品、サービスなどになりすましてユーザーから個人情報や機密情報を盗み取る手口だ。

 フィッシング詐欺は世界的な問題になっており、ITセキュリティの企業や団体がフィッシング詐欺サイト情報の共有化を進めている。PC用のWebブラウザの中には、この情報を利用してユーザーがフィッシング詐欺に誘導されるのをブロックしてくれる機能を備えているものが多い。

 しかし、スマートフォンではこうした対策がまだ十分に講じられていない。さらにはスマートフォンの画面がPCよりも小さいため、WebサイトのURL表示が途中で切れてしまうのだ。接続する先のWebサイトが正規のものかフィッシング詐欺サイトであるかを見極める最も基本的な対策が、スマートフォンでは取りづらい。ヒッポネン氏は、「OSの種類に関係なく、すべてのユーザーがさらされている脅威だ」と指摘している。

脅威対策は今のうちに!

 スマートフォンを取り巻く脅威の現状をみると、ユーザーが被害に遭わないためには、今のうちに対策を準備して、普段から脅威の存在を意識しておくことが必要なようだ。ヒッポネン氏は、「遠くない時期に、スマートフォンでもウイルスが大規模に発生して感染が拡大するアウトブレイクが起きるだろう」と予測する。

 そして本記事では触れなかったが、スマートフォンは小さく持ち歩きが便利であるだけに、端末の紛失や盗難といった物理的な脅威にも備えておかなければならない。

 「スマートフォンのセキュリティソフトにはウイルス対策やデータのバックアップ、盗難・紛失対策、ペアレンタルコントロールといった機能があるので、ぜひ活用してほしい」と、ヒッポネン氏はユーザーにアドバイスを送っている。

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