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トレンドマイクロ、情報漏えい対策を強化した企業版ウイルスバスターを発表

» 2011年11月16日 15時59分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 トレンドマイクロは11月16日、企業向け統合セキュリティソフトの最新版となる「ウイルスバスター コーポレートエディション 10.6」を発表した。2012年1月27日から受注を開始する。

 最新版ではオプション機能の「情報漏えい対策」や、基本機能を集約した「ウイルスバスター コーポレートエディション Plus」をラインアップに加えた。また、Mac向けセキュリティ対策ソフト「Trend Micro Security for Mac」とモバイル向けセキュリティ対策ソフト「Trend Micro Mobile Security」も同一ライセンスで利用できるように変更した。

ウイルスバスター コーポレートエディション 10.6での情報漏えい対策のアプローチ

 今回の製品ではクライアントマシン上における情報漏えい対策を強化している。PCにインスールされているアプリケーションの脆弱性を自動的にチェックし、発見された脆弱性を悪用する攻撃を防ぐ「仮想パッチ適用」や、リムーバブルメディアの利用を制限する「デバイスコントロール」、外部の不正サイトへの接続を阻止する「Webレピュテーション」、PCから機密データが流出するのを監視・阻止する機能などを組み合わせた多層的な防衛環境を実現する。

 これは、近年増加傾向にある企業や組織の機密情報を盗み取ることを狙ったサイバー攻撃に効果的に対処するためという。

 この種の攻撃では機密情報に関わる人物や組織を対象に、正規の内容に見せかけたメールが送り付けられる。メールには細工された不正プログラムが添付されたり、ダウンロードサイトへのリンクが貼られたりしており、受信者が不正プログラムを実行するとマルウェアに感染する。攻撃者がマルウェアに感染したコンピュータを不正に操作して、狙った情報を盗み出す手口が知られている。

 セキュリティエバンジェリストの染谷征良氏は、「修正プログラムを適用できないような場合でも、IPS(不正侵入防御)で防いだり、不正プログラムに感染しても外部との通信をブロックしたりするなど、こうした攻撃には対策技術を多層的に組み合わせて対処する必要がある」と解説する。

リージョナルトレンドラボで解析した国内おけるサイバー攻撃の分析結果の一例。文書ファイルに見せかけた不正プログラムがメールで送り付けられるケースや、感染後に独自のプロトコルで攻撃者の指令サーバと通信する実態が分かった

 特にPCから機密データが流出するのを監視・阻止する機能は、実際に該当するデータが外部に送信されようとすると、コンピュータの画面上にポップアップで警告を表示させて、ユーザーに注意を促す仕組みも持つ。情報漏えいを機能で防ぐことに加え、ユーザーに警戒意識を持ってもらうようにすることで、情報漏えいの危険性を下げる効果が期待されるという。

製品ラインアップの概要

 このほか、同製品では従前のバージョンに比べてウイルススキャン時間を3割ほど短縮するなどパフォーマンスの改善も図った。プロダクトマーケティングマネージャーの松橋孝志氏は、製品の特徴について「ウイルス対策と情報漏えい対策は個別の製品で提供される場合が多いが、新製品は1つのソフトで両方を利用できる。企業のセキュリティ担当者にも負担がかからないようにした」と述べている。

 250ライセンス購入時の1ライセンス当たりの価格(税別)は、「ウイルスバスター コーポレートエディション Client/Server Suite Premium」が8350円、ウイルスバスター コーポレートエディション Plusが5250円。「情報漏えい対策」オプションが3150円などとなっている。

 同社は販売後1年間で180億円の売り上げを見込んでいる。

変更履歴……情報漏えい対策の説明において一部誤りがございました。訂正するとともに、お詫び申し上げます。

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