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「もい!」「にゅっと!」──Twitterのフィンランド人気と大使館の「デジタル外交」(2/2 ページ)

» 2012年03月05日 11時00分 公開
[榊原有希,ITmedia]
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 フィンランドは、IT先進国としても知られる。携帯電話の世界大手Nokiaを擁し、IT技術を学んでほしいと国外からの留学生を積極的に受け入れる国家的プロジェクトも立ち上がっている。ゲーム開発も盛んで、6億ダウンロードを記録したアプリ「Angry Birds」もフィンランド発だ。

photo 取材に応じてくださったコイヴマー参事官と大使館職員の方々。大使館内にはフィンランドの伝統的なサウナが備え付けられている。コイヴマー参事官によると、かつて要人達はサウナで外交をしていたという。「サウナ外交とデジタル外交がフィンランド流」とのことだ

 フィンランド外務省は、2、3年前から大使館による情報発信をソーシャルメディアに移行する方針を打ち出している。災害や暴動など有事の際は、緊急の情報伝達のチャンネルに使われているという。そんな各国フィンランド大使館の中でも、日本のフィンランド大使館は、Facebookのファン数もTwitterのフォロワー数もトップを独走。その見事なデジタル外交の手腕は、フィンランド国内でも注目を集め、高い評価を得ている。

 「これまで、国や関係機関はFacebookやTwitterを使ってきましたが、ソーシャルメディアの性格に合った方法とはいえず、堅いイメージが多かった。しかし、私たちは日本のTwitterではどんな話し方が良いか考え、普通の政府機関よりも敷居を低くして、楽しくて面白い、そしてインタラクティブなアカウントにしようと思いました。それが、日本の方々との距離感を縮めることになりました。フィンランド外務省の中でも『うらやましい』と言われます」と笑顔のコイヴマー参事官。他にも、成功の理由がある。

 「フィンランドでは有事の際、FacebookでもTwitterでも、どのような情報を伝えるか、その国の大使館が独自の判断で決めることができます。時差もありますし、本国の承認を待っていてはソーシャルメディアのスピードに乗ることはできません。私達は、ソーシャルメディアによって、多大な時間や労働力をかけずに情報を伝えることができると証明しました。東日本大震災以降の駐日フィンランド大使館による情報発信は、デジタル外交を実現させた先駆的な例として、フィンランド国内でも素晴らしいと注目を浴びています」

 Nokiaやムーミン、デザインなど、もともと日本でフィンランドに対するイメージは「ポジティブだった」という。「国土は日本と同じぐらいの面積ですが、人口は日本よりかなり少ない530万人で、地理的にもかなり遠い。それにも関わらず、アジアで日本ほどフィンランドに興味を抱いてくれている国は他にありません」とコイヴマー参事官。「フィンランドの持つポジティブなイメージの上に、私たちがTwitterを活用することにより、さらに新しい方々とふれあうことができました。大使館の目標は、多くの方にフィンランドに興味を持って頂き、友達になってもらうことです。フィンランドの新しい情報を多面的に伝えていきたいと思っています」

 さて、そんなデジタル外交の重責を担うフィンたんは、どんな方なのか? コイヴマー参事官によると、「職員であることは確かですが、素顔は内緒」とのこと。フィンランド名物、神秘のオーロラに包まれているらしい。

 ちなみに、フィンたんは最近、「フィンランド語では恋人や自分の子供のことを呼ぶとき『Kultaくるた』と言います。女子力を高めると『Kultsiくるつぃ』。僕は久しく耳にしていない単語です…」とつぶやいていた。フォロワーの女子の皆さん、フィンたんに「ねえ、くるつぃ!」と声をかけたら、恥ずかしがらずにこっちを向いてくれるかもしれないです。

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