同中のICT活用は授業だけにとどまらない。生徒会が刊行する新聞「泰山木」の編集作業でも、マイクロソフトのパブリッククラウド「Windows Azure」を活用し、生徒の“テレワーク”を実現している。
同中の生徒会では従来から、校内のデスクトップPCを使って新聞を制作してきた。だが生徒会所属の女子生徒Tさん(2年)によれば「1つのPCとソフトを使って新聞を作っていたため、一度に1人か2人しか作業ができず、6人いる生徒会メンバーのうち他の人はやることがない状況だった」という。
そこで同中は、生徒会新聞の作成プラットフォームとして新たにWindows AzureとゼッタテクノロジーのOffice活用支援ソフト「Dr.シンプラー」を導入。生徒会メンバーが自宅のWindows PCから新聞を作成できる環境を整備した。
今では生徒会メンバーは校内会議で記事の方針や分担を決め、自宅のPCから自分の持ち分の原稿を書けるようになったという。「私はPCが苦手なので大変だけど、(クラウド導入で)部活や塾通いと新聞作成を両立できるようになったので、うれしいです」(Tさん)
同プロジェクトの構想が始まったのは昨年5月。以前から「文教ソリューション本部」を設けるなどして教育分野に力を入れてきたマイクロソフトが豊島区教育委員会に協力を呼び掛け、同中が手を挙げて10月にスタートした。
実施に当たっては、プロジェクト全体のコーディネートをマイクロソフトが、教員研修や授業カリキュラムの作成を東大の山内祐平准教授などが担当。また、レノボジャパンはThinkPad X220 Tablet40台を提供し、ICT環境の構築やソフトの提供は富士電機ITソリューション、ゼッタテクノロジー、セカンドファクトリーなどが手掛けた。
2012年1月、まずは理科や国語、数学などでタブレットを活用した授業を実施。その後道徳の授業や特別活動、生徒会新聞の作成などにもICT活用の幅を広げていったという。「1カ月に1回くらいはタブレットを使った授業を受けている」とTさん。タブレットを使った授業は好きで「とても楽しい」という。
同中の小林豊茂校長は「これまで授業になかなかついてこれなかった子どもや問題行動のあった子どもも、(タブレットなどの導入によって)目を輝かせて1時間飽きることなく授業を受けるようになった」「最初は教員たちも戸惑いからスタートしたが、これからの時代を生きる子供たちが何を学んでいくべきなのか、わたしたち自身も学ばせてもらっている」と話している。
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