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仕事は生きざまであり、存在そのもの――本城慎之介さんキーマン、本を語る【子どもたちに手に取ってほしい3冊】(2/3 ページ)

» 2012年07月26日 12時00分 公開
[取材・文/伏見学,ITmedia]

大人になっても繰り返し読む

 今回、本城さんに紹介してもらったのは、「子どもたちに手に取ってほしい本」をテーマにした3冊だ。

 自宅でも職場でも多くの子どもたちに囲まれて生活を送っている本城さんは、日ごろから数多くの絵本や子ども向けの本を読んでいる。子どもたちには「本と仲良くしてほしい」という思いでいろいろなタイプの本を提供しているという。本の中にはさまざまな登場人物がいたり、さまざまな出来事が起きたりする。本を通じてそうした多くの出会いをしてほしいと願う。

 本城さん自身も、幼少のころからたくさんの本を読んできた。同じ本を繰り返し読むことが多く、それによって、以前に読んだときの自分との違いや感情の変化などを知ることができ、再発見がある。今回も、子どもたちが大人になっても繰り返し読んでほしいという視点で選ばれたそうだ。

「おおきくなるっていうことは」

 この本を好きな理由は、「おおきくなるということはこういうことだ」という答えを1つにしていないところです。正解を与えるのではなく、たくさんの回答を提供しています。

中川ひろたか著、村上康成イラスト「おおきくなるっていうことは」(童心社) 中川ひろたか著、村上康成イラスト「おおきくなるっていうことは」(童心社)

 よく僕は「正解より回答」と言っています。正しい答えを求めよう、探し出そうとするけれども、そんなものは見つからなかったり、どうでもよいものだったりします。今の自分がどういう答えを持っているか、どういう答えを出すかという回答の方が大事なのです。

 この本は、何度読んでみても、今の自分と対話することができます。あくまでテーマは「大人になるということ」ではなく、「おおきくなるということ」なのです。僕は今40歳で、まだおおきくなり続けています。そして、人間は死ぬまでおおきくなるわけです。そうしたことを子どもに分かるような形でいくつも提示しています。

 以前、「仕事の学校」(仕事について思いを寄せる有志が集まり2007年に活動を始めた任意団体)のワークショップでも、この本を題材として使ったことがあります。そのときは、「はたらくということは」というテーマを設け、子どもに伝わるような多くの回答を出してくださいというアクティビティをしました。

 また、ぴっぴでも今年度の1冊目の本として、子どもたち全員に読みました。例えば、「おおきくなるということは、泣かないということ」と読むと、自分はどうだろうかと、自身の姿と重ね合わせて聞いているかのような表情が印象的でした。

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