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「セール品の価格チェックはしている」が……楽天市場、「想定外」の不当表示はなぜ起きた 担当幹部に聞く(2/3 ページ)

» 2013年11月08日 18時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 勝手セールそのものに問題はなく、店舗は自由なタイミングで独自にセールを行える。ただ、問題になった店舗は、商品ページに「楽天イーグルス優勝記念 77%OFF」など、公式セールと同じ文言を使って同じ割引率を適用しているようにうたっていたため、ユーザーからは公式セールと見分けが付かない状態だった。

 この手法は「まったくの想定外だった」と高橋常務は言う。勝手セールの場合、公式セールページやセールサーチからの誘導がないため、ユーザーの大量流入は期待できない。公式セールと同じ割引率を適用するなら、導線の豊富な公式セールに申請したほうが売れるはずだからだ。

 高橋常務は、問題の店舗は、不当な価格表示を行う前提で楽天の価格チェックを避けながら、セールで激増するトラフィックに便乗しようという「悪意があった」という見方を示す。公式の導線は期待できなくても、楽天市場の通常の検索や外部検索エンジンなどからの流入を期待した可能性がある。

1万2000円のシュークリームは「ファイルのダウンロードミス」?

画像 通常価格1万2000円、77%オフで2600円と表記されていた商品だったが、卸元の通常価格は2625円だった例(現在は削除済み)

 同社によると、日本一セールでの不当表示は5日ごろにユーザーから指摘を受け、調査を開始した。楽天市場の過去の販売データと突き合わせ、元値が大幅に変わるなど不当表示が疑われる商品をシステムで抽出し、販売店にメールで説明を求めているという。説明の信憑性が低いと判断した20店舗については、楽天の権限で店舗を閉鎖し、個別に面会調査をしているという。

 10個入りシュークリームを「通常価格1万2000円、77%オフで2600円」と表記していた北海道夕張市の業者のもとにも同社スタッフが出向いて説明を求めたところ、「CSVファイルのダウンロードミスで、誤った価格を表記してしまった」と説明したという。だがその説明は疑わしいとして、8日時点でも店舗は閉鎖されたまま。納得がいく説明が得られない場合は、退店処分にするという。

 調査は順次進めており、不当表示の疑いがある店舗が20店舗以上に広がる可能性もある。

抹茶シュークリーム、iPhone 4Sは「売り上げゼロ」

画像 通常価格43万円と表示されたSIMフリーiPhone 4S(現在は削除済み)

 ただ、今回問題になった、「77%オフで2600円」の抹茶シュークリームや、「通常価格43万円を9万5000円に値下げした」というSIMロックフリーiPhone 4Sの受注はゼロ。「この元値はありえないと、消費者も思ったのだろう」と、同社の塩原聡 事業運営室室長は話す。

 一方、Yahoo!ショッピングで「定価9800円、セール価格3980円」で販売していたスルメイカ10枚セットを楽天市場では「定価1万7310円の77%オフ、3980円」と表示していたケースでは、79セットが売れたという。

 不当表示が行われていたと確認した商品を購入したユーザーがいた場合は、個別に連絡し、楽天から代金を返金するという。

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