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タモリの魅力に膨大なエピソードで迫る「タモリ学」 テレビの顔でありながらネットでも愛される理由(3/3 ページ)

» 2014年03月25日 09時00分 公開
[山崎春奈,ITmedia]
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タモリさんを語ることが「自分語り」に

 ――「笑っていいとも!」はテレビ文化の中でどのような存在だったのか。

 「楽しくなければテレビ(お昼)じゃない」というキャッチフレーズそのもので、まさに情報とか役に立つものがまったくない「楽しいだけ」の番組でした。いまや情報がなければ視聴率が見込めないテレビ界において貴重な存在だったと思います。

 よく「昼のタモリと夜のタモリは違う」と言われますけど、僕は少なくともテレビにおいての発言はそこまで変わらないと思っています。趣味人として博学なタモリさんの側面は「タモリ倶楽部」や「ブラタモリ」だけじゃなく「いいとも」でも顔を出していて、振る舞いが違うように見えるのは企画のせいだと思います。自分が興味ないものには隠さず興味がない振る舞いをするので「いいとも」ではそれが目立つのではないでしょうか。

 ――「テレビとネット」は二項対立として論じられることも多い。

 テレビとネットをお互い敵対するものとするのはナンセンスだと思ってます。ネットは新たな「お茶の間」「井戸端」を作り出し、テレビを“みんなで見る”という楽しさを蘇らせました。

 タモリさんが「テレビの顔」でありながら、ネットユーザーにも広く愛されているのは、「語られる存在」としての面白さがあるからだと思います。

 ほぼ毎日のようにテレビに出続けさまざまな側面を見せているタモリさんは、「お昼の顔」であり「マニアックな知識人」であり、人によってとらえ方が異なっています。「タモリさんをどうとらえているか」「どんな部分が好きか」を聞いていると、その人の物の見方や価値観が分かる気がしませんか。タモリさんを媒介に、自分語りが自然とできるのは魅力の1つだと思います。

 ――最後に、タモリさんを一言で表すなら。

 「今を生きる人」です。反省しない、目標を持たないことが有名ですが、未来にも過去にも、「自分らしさ」などの観念にも執着しない人です。 そして、「今」を楽しむ。一見冷めてそうで、目の前のゲームに夢中になって負けず嫌いな面を見せることもあります。

 タモリさんは「テレビは『今』の状況を映すメディア」と言っていますが、そう考えると刻一刻と表情を変え、瞬間を楽しみ続けるタモリさん自身が「テレビ」を具現化したような存在かもしれません。

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