当時はマンボウを死なせないよう頑張るゲームだった。スキルを買ったり耐性をつけたりしてマンボウが死なないよう努力する、純粋な育成ゲームだ。「死んだら本当にショックなゲームだったんです。何も残らなくて。2回目絶対にやらないよね……と」(中畑さん)
「簡単に死ぬ」とされるマンボウの個性を生かしたまま、死ぬことがストレスにならないゲームにできないか。思いついたのが「強くてニューゲーム」だ。RPGなどで一度クリアした後、強いままの状態で最初から繰り返し遊べるものがあるが、それをこのゲームにも実装した。
一度マンボウが死ぬと、生まれたての状態からの再スタートとなるが、新しい餌や冒険を購入するためのポイント「MP」(マンボウポイント)が増え、経験した死因への耐性が高まる。死ねば死ぬほど強くなる、死んだらむしろうれしいという、前代未聞の育成ゲームが完成した。
6月5日に公開したが、当初は「低空飛行だった」という。「50媒体ぐらいにレビュー依頼の投げ込みをしたんですが2サイトぐらいしか取り上げてくれなくて、立ち上がりが全然なくて。これはやばい、スベったと……」(中畑さん)
何とかしなくてはと、中畑さんは自身のTwitterアカウントを使い、マンボウにゆかりのある有名人や、ネット業界人に「絡みまくった」という。「芸人のマンボウやしろさんとか、VOCALOIDプロデューサーの『家の裏でマンボウ死んでるP』さんとか、起業家の家入一真さんにも絡んだんですが、全員に無視されました」
それでもあきらめなかった。今度はマンボウのTwitterアカウントを作り、「マンボウのアプリなのお」などと、のんびりした“マンボウ口調”で彼らに話しかけたのだ。「そしたらみんな、遊んでTwitterにつぶやいてくれて、あっという間に勢いがつきました」(中畑さん)
ユーザーのツイートやシェアは活発で、口コミがどんどん拡散。AKB48のメンバーや有名声優など芸能界にも広がり、最も多い時で1カ月で240万、1秒間に1ツイート以上もツイートされたという。マンボウのイラストを描いてTwitterに投稿する人も次々に現れるなど、ブームの様相を見せた。
口コミの拡散は当初から狙っていたという。「マンボウが簡単に死ぬ育成ゲーム」という企画そのものに話題性がある上、TwitterやFacebookに投稿するとボーナスが得られる仕組みなどを実装。また、普通にプレイしているだけでは気づかない、“裏技”の死因も用意し、「あの死因見つけた?」などと会話が盛り上がるよう狙った。
「裏技は、ゲームを通じて友達同士がつながる一番の要素」と中畑さん。「友達同士で裏技を見つけ、盛り上がってほしい」という思いを込めて作ったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR