スマホでもPCのようなオープンなインターネットを作りたい――KDDIにはこんな狙いがあると、田中孝司社長は話す。
「Windows 95が出たころ、世界中のWebサイトをクリックだけで行き来できる体験に驚いた人が多かったが、スマホの世界は小さな画面でアプリを1つずつ選んで使っている。非常に分断された、窮屈な感じがする」(田中社長)――Syn.構想を通じ、スマホのサイトやアプリ同士をサイドバーをハブにしてつなげることで“分断”を解消したいという。
同社の高橋誠専務は、「オープンに対する取り組みをNTTドコモとは違う形でやりたいと考えていたが、ドコモがdマーケットをオープンにしたように、auスマートパスをドコモユーザーにも提供する形だと無理がある」と話し、ネット各社のサービスをつなげるという“ポータル”的な構想に至ったと説明。Syn.は「ソフトバンクがヤフーを持っているのと同じ構造」(高橋専務)だ。
Syn.の参加アプリやサイトはauユーザーでなくても利用できる。サービス内にKDDIやauのロゴなどは表示せず、サイドメニュー広告の収益もKDDIは受け取らない。「主役はあくまで各社のサービス」(高橋専務)で、KDDIにはメリットがないようにも見えるが、「インターネットの世界はauの垂直モデルとは違う。auを少し忘れて使い手の気持ちに立ち、オープンなネットの世界で何ができるか」(田中社長)考えた結果という。
KDDIはSyn.を通じて、買収した企業の長期的な価値向上と、ユーザーとの接点の拡大を狙っている。「auユーザー以外のユーザーと、リアルを含めて接点を拡大したい。ユーザー接点を広げることが、将来的なバリューにつながる」(高橋専務)
Syn.を企画・推進する森岡康一氏は、ヤフー、Facebook Japanの副代表を経て1年前、KDDIに入社した。「世の中には250万以上のアプリがあるが、1人のユーザーは8個しか使っていないと言われている。モバイルネットは分断されているが、もっとつながらなくてはならないのでは。本当に良いサービスをつなげていきたい」(森岡氏)
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