ネット時代以前、音楽を作って売るには、演奏したデモテープをレコード会社に持ち込み、デビューが決まればスタジオで録音してCDをプレスし、レコード店に置いてもらって売る……など膨大なプロセスが必要だったが、今はMac1台あれば作曲からアレンジ、演奏まで行え、そのままネットで配信・販売できる。
漫画制作も同様に変えていきたいという。紙の原稿を紙で出版していた従来は、ネームを出版社に持ち込んでデビューにこぎ着け、アシスタントの力を借りながらキャラや背景を下描きし、ペン入れ、トーン貼り、仕上げをし、印刷して全国の書店に配本する――といったプロセスが必要で、手間が大きかった。
Cloud Alpacaで漫画を制作し、無料素材をフルに使えば、背景描きやトーン貼りなどの手間が大幅に削減できる。チーム制作機能を活用すれば、作家とアシスタントが別々の場所にいても共同制作が可能。「最終的には、今までの10倍ぐらいのスピードで漫画が制作できるようにしたい」という。
「漫画を誰でもどこでも描けるようにしたい」との思いもある。マンガの“設計図”に当たる「ネーム」をスマートフォンで描けるアプリ「マンガネーム」も無償公開(現在はAndroid版のみ、近くiOS版提供予定)。春にはCloud Alpacaのタブレット版を公開予定だ。
「PCやタブレットを持っていない中高生でも、スマートフォンなら持っている。中高生が外でネームを描き、家に帰ってPCやタブレットで漫画を制作することも可能になる」と高島社長は期待する。
ソフトやクラウド機能の利用は無料。MediBang!やKindleストアで販売した収益は作家に100%還元しており、同社は手数料を取っていない。ソフト起動時に広告が表示されるが、その収益は、元のソフトを開発したピージーエヌに渡っており、MediBangの収益はまったくない状態だ。
「こんなにお金かけて作ったものを無料で出せるのは、われわれしかいないだろう」――Cloud Alpacaにかけた制作費は約1億円。素材を含めて完全無料で提供するのは、業界の常識から外れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR