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「漫画制作に革命を」 完全無料の漫画制作ソフト「Cloud Alpaca」の狙い(3/3 ページ)

» 2015年01月16日 14時33分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 無料を貫く狙いは、できるだけ多くの漫画家に使ってもらうこと。無料を武器にユーザーを集め、「うちのツールを使う漫画家の割合を100%に高めたい」という。

 Cloud Alpacaを使う作家が増えれば、同社の投稿サイト・MediBang!への投稿作品も増え、有望な作家や人気作が集まってくると期待。サイトのページビューが伸びれば、広告を掲載して収益をあげ、一部を作家に還元したいという。基本的な機能は無料を貫くが、クラウドの容量追加など付加的なサービスの有料化は検討している。

 また、MediBang!に集まった有望な作家に金銭的な支援を行ったり、編集者を付けるなどしてさらなる成長を促し、人気作を生み出して書籍やドラマ、映画などに展開したり、翻訳して世界中に配信するなどし、手数料などから収益をあげる考えもある。「YouTubeもプラットフォームを無料で提供し、ユーザーを集めた上で収益をあげた。漫画は日本がナンバーワン。日本の“メディア王”になるには漫画を押さえないと」

 このほど、ベンチャーキャピタルなどから総額2億4000万円の資金調達を実施。今後もソフト開発や素材制作に投資を惜しまない。

社長はGMOクリック証券創業者 なぜ漫画事業に

 同社は昨年1月に創業したばかりのベンチャー企業。大金を投じ、思い切った勝負に出られる背景には、高島社長のキャリアがある。

 高島社長は、証券会社の営業、システム開発会社のエンジニア、アクセンチュアのコンサルタント、旧ライブドアを経てGMOクリック証券を1人で起業。業界で有数のネット証券に育て、2014年まで社長を務めた。MediBangは14年1月に私費で創業。現在はMediBangの社長とGMOクリック証券の会長を兼任している。

画像 高島社長

 証券・コンサル・システム畑を歩んできた高島社長が、なぜ今、漫画なのか。「もうかりそうだから」と笑いつつ、こう解説する。「これまでにも、誰も作らないようなシステムを作り、サービスで勝負してきた。MediBangでも基本的なやり方は同じだ」

 例えばGMOクリック証券は、全システムを自社で内製した。「証券会社はシステムをあまり自社開発しないが、すべて自社で開発した。エンジニアを集めてほかにないようなシステムを作り、それでビジネスしてきた」

 漫画を描いたことはないが、読むのは以前から好きだった。蔵書を電子化してタブレットで読んでみたところ、電子書籍の便利さを実感し、「電子書籍販売は急激に伸びる」と予見。漫画制作ソフトから投稿サイト、電子書籍配信まで一括で手がけるサービスを構築した。

 その野望は漫画制作にとどまらない。「漫画関連サービスにめどがつけばアニメ制作にも参入したい」と、高島社長は意気込んでいる。

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