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奇抜なアイデアを形に、「実況」を味方に――広がる「自作ゲーム」の裾野 メジャーシーンと違う豊かさを(4/5 ページ)

» 2015年06月19日 13時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]

――数あるタイトルから人気作になるには。

 国内に限っては、ニコニコ動画を中心とするゲーム実況動画の題材として“ハマる”ことが大きなきっかけになっています。ゲームプレイのリアクションで実況主の魅力を引き出す要素が多いものほど、良くも悪くも注目が集まりますね。逆に、実況主が作品に惚れ込んで、「自分が面白いと思う作品の魅力を何とかして多くの人に伝えたい」という熱量の高さが徐々に伝染していくというケースもあり、これに関しては実況主とタイトルの巡り合わせ次第な面もあります。

 総合完成度が、商業タイトルや他の自作ゲームに到底及ばなくても、特定世代の微妙な心理やムードをキャラクターの言動やストーリーで表現できている作品は、共感を根拠に口コミで広まりやすい傾向があります。このあたりは個々の作家性に関わる部分でもあるので、不用意な断定はできませんが、少なくとも「ホラーが受けているから、ホラー作品を作れば人気が出る」という単純なものではないことは確かです。

photo 「コープスパーティー」は7月にニンテンドー3DS版が発売

――世界的に「インディーゲーム」は大きなジャンルとなっているが、国内外の状況を比較して違いはあるか。

 海外のインディーデベロッパーは、総じてビジネス志向が強く、文字通り「インディペンデント」な体制での成功を目指す傾向にあります。その背景には、国民性もさることながら、大手メーカーのレイオフなどによって、高い技術を持ったクリエイターが自活せざるを得ない状況に追い込まれる機会が少なくないという事情も影響していると思います。また、カナダやスウェーデンなどの一部の国家では、インディーを含むゲーム産業を政府が支援しており、世界的にヒットする=国益をもたらすタイトルを開発・リリースすることが期待されている面もあります。

photo 3500以上のPCゲームがならぶダウンロードプラットフォーム「Steam」

 対して、国内のインディーシーンは個々のデベロッパーが孤軍奮闘している状況です。2013年から、インディーゲームの祭典「Bitsummit」が開催されたり、東京ゲームショウに大掛かりなインディーゲームブースが設けられたりと、シーン全体を意識できる場が徐々に生まれているので、今後のさらなる発展に期待したいですね。

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