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「予算ゼロで有名になりたい」 無料で使える脱サラ双子姉妹“フリー素材アイドル”が生まれるまで(3/3 ページ)

» 2015年07月10日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
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「私たち、無料です」 予想以上の大反響

 11月20日、「私たち、無料です」を掲げる特設サイトが公開されると、SNSを中心に一気に拡散した。多くのWebメディアで取り上げられ、「フリー素材アイドル」はヤフーやGoogleの検索急上昇ワードに。ブログやオフィシャルサイトのアクセス数は通常時の数百倍に跳ね上がり、特設サイトも何度かサーバーダウンした。

photo 「フリー素材アイドル」をアピールする売り込みツールはRIKAさんがWordで作っているそう

 「Twitterのフォロワー数が見る度にどんどん増えていくんです、ストップウォッチみたいに! いつも毎日朝起きて1番にスマホを確認して、1人減った、1人増えたって一喜一憂してるんですよ? それが10人、20人……。すごいすごい、ってはしゃいでました。夢みたい」(MIKAさん)

 企画自体が話題になるだけでなく、素材としても続々と使われていった。Web用のバナーやアイキャッチ画像のほか、ゲームや動画の素材として使われるケースも。チラシやフライヤー、飲食店のメニューなど、印刷物での利用報告も多い。「家の近くのカフェでポスターとして使われていてびっくりしました、うれしかったです……前を通るの恥ずかしかったですけど(笑)」(MIKAさん)。

 Twitter上では井村屋や山芳製菓など大手企業の公式アカウントが参戦。「あずきバー」「わさビーフ」など自分たちもなじみのある商品の広告として“遊んで”くれた時はうれしかったという。インスパイア企画として「フリー素材インド人」も生まれた。MIKA☆RIKAの2人と同じ構図でインド人2人組が撮影した写真を配布している。

 「ネットで話題に」からスタートし、仕事のオファーも増え、テレビのバラエティ番組やラジオに初出演も果たした。NHKドラマ「美女と男子」の小道具の雑誌に2人の素材が使われたことから、アイドル役として実際にドラマに出演した。

 企画自体も評価され、デジタルマーケティングの優秀な施策を表彰する「コードアワード2015」では「ベスト・イノベーション」と一般投票で決まる「パブリックベスト」のW受賞を果たした。大企業の有名広告が並ぶ中に資金も知名度もない自分たちが食い込んだこと、そして投票という形で多くの人の印象に残ったと分かったのがうれしいと話す。

 「私達自身がフリー素材をガンガン使って宣伝しているというよりも、多くの皆様に使っていただけてること、話題にしていただけてることで、どんどん広がっていってるんです。全ては、MIKA☆RIKAじゃなくて、応援してくださってる皆様のおかげなのです!!\(^ヮ^)/ 私達が凄いわけではないのだ!笑 \(^ヮ^)/」(公式ブログより)

 先日、初めて町で声をかけられた時の言葉は「あの、フリー素材の人ですよね?」。次は「MIKA☆RIKA」という名前で呼んでもらえるようになりたいと笑う。

 「“フリー素材アイドル”はあくまで知ってもらう入り口でスタート地点。アイドルとして、タレントとして、せっかくいただいたチャンスをつかみたい。……いつまでも無料の存在じゃなくて、ちゃんと稼げるように!」(MIKAさん)

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