次の曲は、VOCALOID4 Editorにベタ打ちした音符を全選択してSachikobushiを適用したもの。声の立ち上がりは3段階中1番速いFast、揺れ幅は4段階で1番少ないレベル1に設定した。
ピッチが不自然なところを数カ所修正したが、それ以外はSachikobushiにおまかせした結果がこれだ。
曲の最後にロングトーンはきちんと「こぶし」を効かせている。
ビブラートは上方向は一定振幅を保つが下方向には徐々に増えていき、出だしはちょっと下げるなど、興味深い表現方法が見られる。半世紀を生き抜いてきた一流歌手の歌唱技術が自由になるというのは貴重なことだ。
HMMを使うという手法は、ほかの歌手で使ったり、データベースをまたいで適用することも可能かもしれない。PC、Macだけでなく、iOSなどのモバイルデバイスで使えるようになれば、日本だけではなく海外でもユーザーが増えていくだろう。タイミングよく、Mobile VOCALOID EditorではCyber Divaが追加されている。
小林幸子さんに、声色はともかく歌い方をそっくり真似されることはプロの歌手として嫌ではなかったのかと質問したところ、「ものすごく嫌ですよ。裸にされているようなものですから。裸の(ボーカルだけの)音だけをずっと聞いているのを横でみているのはすごく恥ずかしかった」との答え。
それでも、VOCALOID版小林幸子が出ることで自身の仕事が少なくなるのではという別の質問には「何も心配はいりません。生身はここ、ひとりですから」と人間の歌手としての自負を見せた。
英語版VOCALOIDの可能性についても聞いてみた。400種類ものサンプリングボイスを収録(レコーディングは800種類くらい行ったそうだ)している中に、英語の掛け声が何個が含まれており、英語曲にも慣れている。英語データベースはやりたいかと質問に、「ジャズも歌ってるし、英会話を勉強して、前向きに」と意欲的だった。さらに、「わたし、発音はいいんですよ」とアピール。
「わたしが自分のボカロ曲をカバーする初めての経験。ジャンル、国も問わず、小林幸子のVOCALOIDを楽しんでいただきたい」と結んだ。
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